呻吟語 / 内篇・談道・幽に處りて明を燭らすを神照と謂ふ
處明燭幽,未能見物而物先見之矣;處幽燭明,是謂神照。是故不言者非喑,不視者非盲,不聽者非聾。
新字:処明燭幽,未能見物而物先見之矣;処幽燭明,是謂神照。是故不言者非喑,不視者非盲,不聴者非聾。
書き下し
明に處りて幽を燭らせば、未だ物を見る能はずして物先に之を見る。幽に處りて明を燭らす、是れを神照と謂ふ。是の故に言はざる者は喑に非ず、視ざる者は盲に非ず、聽かざる者は聾に非ず。
現代語訳
明るい所にいて暗い所を照らそうとすれば、こちらが相手を見る前に、相手のほうがこちらを見ています。暗い所にいて明るい所を照らす、これを神の照らしと言います。だから、言わない者は口がきけないのではなく、見ない者は目が見えないのではなく、聞かない者は耳が聞こえないのではないのです。
解説
明るい場所から暗がりを覗く者は、覗く前に覗かれている。この一行で観察の位置取りを言い当てます。目立つ場所に立って人を見定めようとすれば、こちらの手の内は先に読まれている。だから静かな側に身を置けと言うのです。後半の三つの否定も見事で、黙り、見ず、聞かないのは、能力が欠けているからではなく自分で選んだ結果だと示しています。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
観察位置沈黙神照隠れる
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