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史記 / 天官書

其紀上元,以攝提格之歳,與營室晨出東方,至角而入;與營室夕出西方,至角而入;與角晨出,入畢;與角夕出,入畢;與畢晨出,入箕;與畢夕出,入箕;與箕晨出,入柳;與箕夕出,入柳;與柳晨出,入營室;與柳夕出,入營室。凡出入東西各五,爲八歳,二百二十日,復與營室晨出東方。其大率,歳一周天。其始出東方,行遲,率日半度,一百二十日,必逆行一二舍;上極而反,東行,行日一度半,一百二十日入。其庳,近日,曰明星,柔;髙,遠日,曰大囂,剛。其始出西,行疾,率日一度半,百二十日;上極而行遲,日半度,百二十日,旦入,必逆行一二舍而入。其庳,近日,曰大白,柔;髙,遠日,曰大相,剛。出以辰、戌,入以丑、未。當出不出,未當入而入,天下偃兵,兵在外,入。未當出而出,當入而不入,下起兵,有破國。其當期出也,其國昌。其出東爲東,入東爲北方;出西爲西,入西爲南方。所居久,其鄕利;,其鄕凶。出西至東,正西國吉。出東至西,正東國吉。其出不經天;經天,天下革政。小以角動,兵起。始出大,後小,兵弱;出小,後大,兵強。出髙,用兵深吉,淺凶;庳,淺吉,深凶。日方南金居其南,日方北金居其北,曰贏,侯王不寧,用兵進吉退凶。

新字:其紀上元,以摂提格之歳,与営室晨出東方,至角而入;与営室夕出西方,至角而入;与角晨出,入畢;与角夕出,入畢;与畢晨出,入箕;与畢夕出,入箕;与箕晨出,入柳;与箕夕出,入柳;与柳晨出,入営室;与柳夕出,入営室。凡出入東西各五,為八歳,二百二十日,復与営室晨出東方。其大率,歳一周天。其始出東方,行遅,率日半度,一百二十日,必逆行一二舎;上極而反,東行,行日一度半,一百二十日入。其庳,近日,曰明星,柔;高,遠日,曰大囂,剛。其始出西,行疾,率日一度半,百二十日;上極而行遅,日半度,百二十日,旦入,必逆行一二舎而入。其庳,近日,曰大白,柔;高,遠日,曰大相,剛。出以辰、戌,入以丑、未。当出不出,未当入而入,天下偃兵,兵在外,入。未当出而出,当入而不入,下起兵,有破国。其当期出也,其国昌。其出東為東,入東為北方;出西為西,入西為南方。所居久,其郷利;,其郷凶。出西至東,正西国吉。出東至西,正東国吉。其出不経天;経天,天下革政。小以角動,兵起。始出大,後小,兵弱;出小,後大,兵強。出高,用兵深吉,浅凶;庳,浅吉,深凶。日方南金居其南,日方北金居其北,曰贏,侯王不寧,用兵進吉退凶。

書き下し

其の紀の上元は、摂提格の歳を以て、営室と晨に東方に出で、角に至りて入る。営室と夕に西方に出で、角に至りて入る。角と晨に出で、畢に入る。角と夕に出で、畢に入る。畢と晨に出で、箕に入る。畢と夕に出で、箕に入る。箕と晨に出で、柳に入る。箕と夕に出で、柳に入る。柳と晨に出で、営室に入る。柳と夕に出で、営室に入る。凡そ出入東西各々五、八歳二百二十日と為し、復た営室と晨に東方に出づ。其の大率は、歳に一たび天を周る。其の始めて東方に出づるや、行くこと遅く、率ね日に半度、一百二十日にして、必ず逆行すること一二舎。上極まりて反り、東行し、行くこと日に一度半、一百二十日にして入る。其の庳くして、日に近きを、明星と曰ひ、柔なり。高くして、日に遠きを、大囂と曰ひ、剛なり。其の始めて西に出づるや、行くこと疾く、率ね日に一度半、百二十日。上極まりて行くこと遅く、日に半度、百二十日にして、旦に入る、必ず逆行すること一二舎にして入る。其の庳くして、日に近きを、大白と曰ひ、柔なり。高くして、日に遠きを、大相と曰ひ、剛なり。出づるは辰・戌を以てし、入るは丑・未を以てす。当に出づべくして出でず、未だ当に入るべからずして入れば、天下兵を偃せ、兵外に在れば、入る。未だ当に出づべからずして出で、当に入るべくして入らざれば、下兵を起こし、破国有り。其の当に期に出づるや、其の国昌ゆ。其の東に出づるは東と為し、東に入るは北方と為す。西に出づるは西と為し、西に入るは南方と為す。居る所久しければ、其の郷利あり。其の郷凶なり。西に出でて東に至れば、正西の国吉なり。東に出でて西に至れば、正東の国吉なり。其の出づるや天を経ず。天を経れば、天下政を革む。小にして角を以て動けば、兵起こる。始め出づるとき大にして、後に小なれば、兵弱し。出づるとき小にして、後に大なれば、兵強し。出づること高ければ、兵を用ふるに深ければ吉、浅ければ凶。庳ければ、浅ければ吉、深ければ凶。日方に南すれば金其の南に居り、日方に北すれば金其の北に居る、贏と曰ふ、侯王寧からず、兵を用ふるに進めば吉、退けば凶。

現代語訳

その暦の起点(上元)は、摂提格の年に、(太白が)営室と共に明け方に東方に現れ、角宿に至って隠れる。営室と共に夕方に西方に現れ、角宿に至って隠れる。角宿と共に明け方に現れ、畢宿で隠れる。角宿と共に夕方に現れ、畢宿で隠れる。畢宿と共に明け方に現れ、箕宿で隠れる。畢宿と共に夕方に現れ、箕宿で隠れる。箕宿と共に明け方に現れ、柳宿で隠れる。箕宿と共に夕方に現れ、柳宿で隠れる。柳宿と共に明け方に現れ、営室で隠れる。柳宿と共に夕方に現れ、営室で隠れる。およそ東西の出入りがそれぞれ五回で、八年と二百二十日となり、再び営室と共に明け方に東方に現れる。その大体の割合は、一年に天を一周する。はじめ東方に現れるときは、進むのが遅く、おおよそ一日に半度で、百二十日たつと必ず一、二宿逆行する。高さが極まると引き返して東へ進み、一日に一度半進んで、百二十日で隠れる。低くて太陽に近いものを明星といい、柔である。高くて太陽から遠いものを大囂といい、剛である。はじめ西方に現れるときは、進むのが速く、おおよそ一日に一度半で百二十日。高さが極まると進むのが遅くなり、一日に半度で百二十日たち、明け方に隠れるが、必ず一、二宿逆行してから隠れる。低くて太陽に近いものを大白といい、柔である。高くて太陽から遠いものを大相といい、剛である。現れるのは辰・戌の方角で、隠れるのは丑・未の方角である。出るべき時に出ず、まだ隠れるべきでないのに隠れれば、天下は戦をやめ、兵が外に出ていれば引き揚げる。まだ出るべきでないのに出て、隠れるべき時に隠れなければ、下の国で兵が起こり、滅びる国がある。定められた時期に出れば、その国は栄える。東に出るのは東(の国)を表し、東に隠れるのは北方を表す。西に出るのは西を表し、西に隠れるのは南方を表す。とどまる期間が長ければ、その方角の国に利がある。(すぐ移れば)その方角の国は凶である。西に出て東に至れば、真西の国が吉である。東に出て西に至れば、真東の国が吉である。太白は現れても天を横切らない。天を横切れば、天下の政治が改まる。小さくて光芒が動けば戦が起こる。はじめ出るときは大きく後に小さくなれば、兵は弱い。出るときは小さく後に大きくなれば、兵は強い。出る位置が高ければ、兵を用いるのに深く攻め込めば吉、浅ければ凶である。低ければ、浅ければ吉、深ければ凶である。太陽が南にあるときに金星がその南にあり、太陽が北にあるときに金星がその北にあるのを贏という。諸侯や王は安らかでなく、兵を用いるなら進めば吉、退けば凶である。

解説

金星の運行についての具体的な記述です。金星は太陽の近くにしか見えず、明け方に東の空に見える時期と、夕方に西の空に見える時期を繰り返します。ここではその出入りが五つの星宿を巡って八年と二百二十日でもとに戻ると記されています。実際に金星は八年でほぼ同じ位置に戻る周期を持っており、古代の観測の確かさがうかがえます。明け方の金星が低くて太陽に近ければ「明星」、高く遠ければ「大囂」と呼び、柔と剛を分けて戦の吉凶を占いました。出るべき時に出なければ戦がやみ、出るべきでない時に出れば戦が起こるとされ、また高く出れば深く攻め込むのが吉、低ければ浅く攻めるのが吉とされています。状況に応じて攻め方の深さを変えるという発想は、占いを離れても、市場や競合の状況を見て打ち手の深さを変える経営判断に通じます。

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