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史記 / 夏本紀

不如言,刑從之。舜德大明。於是夔行樂,祖考至,羣后相讓,鳥獸翔舞,九成,鳳皇來儀,百獸率舞,百官信諧。帝用此作歌曰:「陟天之命,維時維幾。」乃歌曰:「股肱喜哉,元首起哉,百工熙哉!」皋陶拜手稽首揚言曰:「念哉,率爲興事,慎乃憲,敬哉!」乃更爲歌曰:「元首明哉,股肱良哉,庶事康哉!」:「元首叢脞哉,股肱惰哉,萬事墮哉!」帝拜曰:「然,往欽哉!」於是天下皆宗禹之明度數聲樂,爲山川神主。帝舜薦禹於天,爲嗣。十七年而帝舜崩。三年喪畢,禹辭辟舜之子商均於陽城。天下諸侯皆去商均而朝禹。禹於是遂即天子位,南面朝天下,國號曰夏后,姓姒氏。帝禹立而舉皋陶薦之,且授政焉,而皋陶卒。封皋陶之後於英、六,或在許。而后舉益,任之政。

新字:不如言,刑従之。舜徳大明。於是夔行楽,祖考至,羣后相譲,鳥獣翔舞,九成,鳳皇来儀,百獣率舞,百官信諧。帝用此作歌曰:「陟天之命,維時維幾。」乃歌曰:「股肱喜哉,元首起哉,百工熙哉!」皋陶拝手稽首揚言曰:「念哉,率為興事,慎乃憲,敬哉!」乃更為歌曰:「元首明哉,股肱良哉,庶事康哉!」:「元首叢脞哉,股肱惰哉,万事堕哉!」帝拝曰:「然,往欽哉!」於是天下皆宗禹之明度数声楽,為山川神主。帝舜薦禹於天,為嗣。十七年而帝舜崩。三年喪畢,禹辞辟舜之子商均於陽城。天下諸侯皆去商均而朝禹。禹於是遂即天子位,南面朝天下,国号曰夏后,姓姒氏。帝禹立而舉皋陶薦之,且授政焉,而皋陶卒。封皋陶之後於英、六,或在許。而后舉益,任之政。

書き下し

言の如くならずんば、刑之に従ふ。舜の徳大いに明らかなり。是に於て夔楽を行ひ、祖考至り、羣后相譲り、鳥獣翔り舞ひ、九成して、鳳皇来儀し、百獣率ゐ舞ひ、百官信に諧ふ。帝此を用て歌を作りて曰く、「天の命を陟ぐるは、維れ時維れ幾」と。乃ち歌ひて曰く、「股肱喜べば、元首起こり、百工熙まる」と。皋陶拝手稽首し揚言して曰く、「念へや、率ゐて事を興すを為し、乃の憲を慎め、敬めや」と。乃ち更めて歌を為りて曰く、「元首明らかなれば、股肱良く、庶事康し」と。「元首叢脞なれば、股肱惰り、万事墮る」と。帝拝して曰く、「然り、往きて欽めや」と。是に於て天下皆禹の明らかなる度数声楽を宗とし、山川の神主と為す。帝舜禹を天に薦め、嗣と為す。十七年にして帝舜崩ず。三年の喪畢はり、禹辞して舜の子商均に辟けて陽城に居る。天下の諸侯皆商均を去りて禹に朝す。禹是に於て遂に天子の位に即き、南面して天下を朝せしめ、国を夏后と号し、姓は姒氏なり。帝禹立ちて皋陶を挙げて之を薦め、且つ政を授けんとするも、皋陶卒す。皋陶の後を英・六に封じ、或いは許に在り。而して后益を挙げ、之に政を任ず。

現代語訳

(皋陶は禹に倣わせ、)その言葉どおりにしない者には刑罰を加えた。舜の徳は大いに明らかとなった。そこで夔は音楽を奏で、祖先の霊が降り、諸侯は互いに譲り合い、鳥獣は飛び舞い、(簫韶の曲が)九度奏でられると、鳳凰が飛来して威儀を正し、獣たちはこぞって舞い、百官はまことに和合した。帝はこれにちなんで歌を作って言った。「天命を謹んで奉じるには、時を慎み、兆しを慎むことだ。」そして歌った。「手足の臣が喜んで励めば、頭たる君主も奮い立ち、百官の仕事は盛んになる。」皋陶は手を合わせて拝礼し、頭を地につけ、声を上げて言った。「心に留めよ。先に立って事業を興し、法を慎んで守り、慎めよ。」そこで改めて歌を作って言った。「頭たる君主が明らかであれば、手足の臣は良く働き、諸事は安らかになる。」(また歌った。)「頭たる君主がこまごまと細事にとらわれれば、手足の臣は怠け、万事はすたれる。」帝は拝礼して言った。「そのとおりだ。行って慎んで務めよ。」こうして天下はみな禹の定めた明らかな度量や音楽を尊び、禹は山川の神々の祭主となった。帝舜は禹を天に推薦し、後継ぎとした。十七年して帝舜は崩じた。三年の喪が明けると、禹は位を辞退し、舜の子の商均に譲って陽城に退いた。しかし天下の諸侯はみな商均のもとを去って禹に朝見した。禹はそこでついに天子の位につき、南を向いて天下の朝見を受け、国号を夏后とし、姓は姒氏とした。帝禹は即位すると皋陶を登用して天に推薦し、政治を授けようとしたが、皋陶は亡くなった。皋陶の子孫を英・六に封じ、あるいは許に封じた者もいた。そこで益を登用し、政治を任せた。

解説

舜の治世の完成と、禹への禅譲を描く段です。夔の奏でる音楽に鳳凰が舞い降り、百官が和合する場面は、理想の治世の象徴として後世まで語り継がれました。舜と皋陶の唱和する歌が印象的です。「手足の臣が喜べば頭の君主も奮い立つ」「君主が明らかなら臣下は良く働く」、そして「君主がこまごまとした細事にとらわれれば、臣下は怠け、万事がすたれる」。トップが細部にまで口を出せば、部下は自分で考えなくなり、組織全体が停滞するという戒めです。この後、舜は禹を後継に推し、禹もまた舜の子に位を譲ろうとしますが、諸侯は禹のもとに集まりました。即位した禹は皋陶を後継に推そうとしますが、皋陶が先に亡くなったため益を登用します。任せるべきところは任せ、トップは大きな方向を示すことに徹する。三千年以上前の歌が、今のマネジメントの急所を突いています。

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