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士道心得書 / 士の品と大小

士には主將士の三段有り、各大小輕重の差別有り。主者天下武門の主君也。主にも大小輕重有り、大主、征夷大將軍、鎭守府將軍、公方、官領等也、小主は一國一郡の主人諸大名也。當時一萬石以上を大名と云て、輕重は國主領主城主內外御門葉の別有り、又祿の輕重は五萬石以上十萬石以上抔言儀也。大を以て云時は將は大將方と云て、天下の諸大名也。小將を云時は士大將、足輕大將、物頭、者奉行、惣て組を持支配有を云云、其內にも又高下輕重有り、士は大身小身大主公の御旗本より陪臣に至り、無役の輩も是又夫也、三千石以上五千石以上抔云〻是也。祿の多少、役高下、格の貴賤有て、大小輕重一樣不成。

新字:士には主将士の三段有り、各大小軽重の差別有り。主者天下武門の主君也。主にも大小軽重有り、大主、征夷大将軍、鎮守府将軍、公方、官領等也、小主は一国一郡の主人諸大名也。当時一万石以上を大名と云て、軽重は国主領主城主内外御門葉の別有り、又禄の軽重は五万石以上十万石以上抔言儀也。大を以て云時は将は大将方と云て、天下の諸大名也。小将を云時は士大将、足軽大将、物頭、者奉行、惣て組を持支配有を云云、其内にも又高下軽重有り、士は大身小身大主公の御旗本より陪臣に至り、無役の輩も是又夫也、三千石以上五千石以上抔云〻是也。禄の多少、役高下、格の貴賤有て、大小軽重一様不成。

書き下し

士には主・將・士の三段有り、各々大小輕重の差別有り。主は天下武門の主君なり。主にも大小輕重有り、大主は征夷大將軍・鎭守府將軍・公方・官領等なり、小主は一國一郡の主人諸大名なり。當時一萬石以上を大名と云ひて、輕重は國主・領主・城主・内外御門葉の別有り、又祿の輕重は五萬石以上十萬石以上など言ふ儀なり。大を以て云ふ時は將は大將方と云ひて、天下の諸大名なり。小將を云ふ時は士大將・足輕大將・物頭・者奉行、惣て組を持ち支配有るを云ふ、云云、其の内にも又高下輕重有り、士は大身小身大主公の御旗本より陪臣に至り、無役の輩も是れ又夫れなり、三千石以上五千石以上など云ふ是なり。祿の多少、役の高下、格の貴賤有りて、大小輕重一樣ならず。

現代語訳

士には主・将・士の三つの段があり、それぞれに大小軽重の違いがあります。主とは天下の武門の主君です。主にも大小軽重があり、大主は征夷大将軍・鎮守府将軍・公方・管領などで、小主は一国一郡の主人である諸大名です。今は一万石以上を大名といい、その軽重には国主・領主・城主・内外の御門葉の別があり、また禄の軽重では五万石以上、十万石以上などという言い方をします。大きな意味でいえば、将は大将方といって天下の諸大名です。小さな意味でいえば、士大将・足軽大将・物頭・奉行など、すべて組を持って支配する者をいいます。その中にもまた高下軽重があります。士は大身・小身があり、大主君の旗本から陪臣に至るまで、無役の者もそのとおりで、三千石以上、五千石以上などというのがこれです。禄の多少、役の高下、格の貴賤があって、大小軽重は一様ではありません。

解説

ここは士の身分と役職の整理です。主・将・士の三段を挙げ、さらにそれぞれに大小軽重があると述べます。ここで言う分類は、石高や役職の違いを示すもので、当時の幕藩体制の実情を映しています。ただ、ここから現代への示唆も引き出せます。組織には階層があり、立場によって求められる責任も判断の幅も異なります。管理職は自分がどの段にいるのかを自覚し、上と下の双方に対して何を果たすべきか、役割の大きさに応じた責任を明確にしておく必要があります。

この章句が説くこと

主将士身分役職大名石高階層

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