司馬法 / 嚴位
凡戰之道:教約人輕死;道約人死正。凡戰:若勝若否,若天若人。凡戰:三軍之戒,無過三日;一卒之警,無過分日;一人之禁,無過皆息。
新字:凡戦之道:教約人軽死;道約人死正。凡戦:若勝若否,若天若人。凡戦:三軍之戒,無過三日;一卒之警,無過分日;一人之禁,無過皆息。
書き下し
凡そ戦いの道は、教約なれば人死を軽んじ、道約なれば人正に死す。凡そ戦いは、勝つが若く否ざるが若く、天の若く人の若し。凡そ戦いは、三軍の戒めは、三日を過ぐること無く、一卒の警めは、分日を過ぐること無く、一人の禁は、皆息(いこ)うを過ぐること無し。
現代語訳
およそ戦いの道とは、教えが簡潔にまとまっていれば人は死を恐れず、道が簡潔にまとまっていれば人は正義のために死ぬ。およそ戦いは、勝つとも勝たないとも見え、天の力によるとも人の力によるとも見える(ものであり、先入観で決めつけない)。およそ戦いでは、全軍への戒めは三日を超えてはならず、一卒(百人)への警告は半日を超えてはならず、一人への禁令は(その者が)息をつく間を超えてはならない。
解説
教えと道が簡潔であれば人は死を恐れず正義のために戦う、という前半と、戒めの期間を集団の大きさに応じて短く区切れという後半からなる一節である。約とは簡約の意で、あれこれ多くを教えるより、要点が絞られているほうが人の心に入り、いざというときに体が動く。中ほどの句は、戦いの勝敗を天とも人ともつかないものとして慎重に見よと言う。後半では、全軍への戒めは三日、百人の部隊には半日、個人への禁令はひと息の間を超えるなとする。戒めが長く続けば緊張が切れ、命令が形だけのものになるからである。現代の職場でも、長い規則集や延々と続く引き締めは、かえって誰の心にも残らない。短く、絞って、期限を区切ることが、言葉を生かす条件なのである。
関連する章句
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司馬法・嚴位凡そ戦いの道は、道義を等しくし、卒伍を立て、行列を定め、縦横を正し、名実を察す。立ちて進むには俯し、坐して進むには跪く。畏るれば則ち密にし、危うければ則ち坐す。遠き者は之を視れば則ち畏れず、邇(ちか)き者は視ること勿ければ則ち散ぜず。位下れば、左右下り、甲坐し、誓いて徐(おもむろ)に之を行う。位は徒甲に逮(およ)び、籌(はか)るに軽重を以てし、馬を振るい徒甲を譟(さわ)がしめ、畏るれば亦た之を密にす。跪坐坐伏すれば、則ち膝行して寛(ゆる)やかに之に誓う。起ちて譟ぎ鼓して進めば、則ち鐸を以て之を止む。枚を御(ふく)み糗(きゅう)を誓い、坐して膝行して之を推し、戮を執りて顧みるを禁じ、譟ぎて以て之に先んず。若し畏るること太甚しければ、則ち戮殺すること勿く、示すに顔色を以てし、之に告ぐるに生くる所を以てし、其の職を循(めぐ)り省みよ。凡そ三軍、人戒むること分日、人禁ずること息(や)まざれば、以て食を分かつべからず、其の疑惑に方(あた)りては、師とすべく服せしむべし。凡そ戦いは、力を以て久しく、気を以て勝つ。固きを以て久しく、危うきを以て勝つ。本心固く、新気勝ち、甲を以て固く、兵を以て勝つ。凡そ車は密なるを以て固く、徒は坐するを以て固く、甲は重きを以て固く、兵は軽きを以て勝つ。
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司馬法・嚴位凡そ戦の道は、位は厳ならんことを欲し、政は栗(りつ)ならんことを欲し、力は窕(ゆとり)あらんことを欲し、気は閑(しずか)ならんことを欲し、心は一ならんことを欲す。
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司馬法・嚴位凡そ戦いは、敬すれば則ち慊(こころよ)し、率(そつ)すれば則ち服す。
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司馬法・用眾凡そ戦いは、先んずれば則ち弊(つか)れ、後るれば則ち懾(おそ)れ、息(いこ)えば則ち怠り、息わざるも亦弊れ、息うこと久しきも亦其の懾に反る。
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司馬法・定爵国に居りては和し、軍に在りては法あり、刃上には察す。国に居りては好を見し、軍に在りては方を見し、刃上には信を見す。凡そ陳は、行くには惟れ疏(そ)に、戦うには惟れ密に、兵は惟れ雑う。人の教え厚ければ、静かにして乃ち治まり、威利章(あき)らかなり。相守るに義あれば、則ち人勉め、慮多く成れば、則ち人服す。時中に服し、厥の次治まる。物既に章らかなれば、目乃ち明らかなり。慮既に定まれば、心乃ち強し。進退に疑い無く、敵を見て謀る無し。誅を聴きては、其の名を誰(と)うこと無く、其の旗を変うること無かれ。凡そ事は、善なれば則ち長く、古に因れば則ち行われ、誓い作(おこ)りて章らかなれば、人乃ち強く、厲祥を滅ぼす。厲を滅ぼすの道は、一に曰く義、之を被(おお)うに信を以てし、之に臨むに強を以てし、基を成し、天下の形を一にし、人説ばざる莫し、是れを兼ねて其の人を用うと謂う。一に曰く権、其の溢るるを成し、其の好むところを奪い、我は其の外よりし、自ら其の内よりせしむ。一に曰く人、二に曰く正、三に曰く辞、四に曰く巧、五に曰く火、六に曰く水、七に曰く兵、是れを七政と謂う。栄、利、恥、死、是れを四守と謂う。容色積威は、意を改むるに過ぎず、凡そ此れ道なり。唯だ仁のみ親しむ有り、仁有りて信無ければ、反って厥の身を敗る。人は人とし、正は正とし、辞は辞とし、火は火とす。凡そ戦いの道は、既に其の気を作し、因りて其の政を発し、之に仮すに色を以てし、之を道(みちび)くに辞を以てし、懼れに因りて戒め、欲に因りて事とし、敵を蹈み地を制し、職を以て之に命ず、是れを戦法と謂う。凡そ人の形は、衆の求むるに由り、試みるに名行を以てし、必ず善く之を行う。若し行わんとして行わざれば、身以て之を将い、若し行わんとして行えば、因りて忘るること勿からしめ、三たびして乃ち章を成す。人生の宜しき、之を法と謂う。
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