司馬法 / 仁本
會之以發禁者九:憑弱犯寡則眚之;賊賢害民則伐之;暴內陵外則壇之;野荒民散則削之;負固不服則侵之;賊殺其親則正之;放弒其君則殘之;犯令陵政則杜之;外內亂、禽獸行,則滅之。
新字:会之以発禁者九:憑弱犯寡則眚之;賊賢害民則伐之;暴内陵外則壇之;野荒民散則削之;負固不服則侵之;賊殺其親則正之;放弒其君則残之;犯令陵政則杜之;外内乱、禽獣行,則滅之。
書き下し
之を会して禁を発する者は九。弱きに憑(よ)り寡きを犯せば則ち之を眚(はぶ)く。賢を賊(そこな)い民を害すれば則ち之を伐つ。内に暴にして外を陵(しの)げば則ち之を壇(せん)す。野荒れ民散ずれば則ち之を削る。固きを負みて服せざれば則ち之を侵す。其の親を賊殺すれば則ち之を正す。其の君を放弒(ほうしい)すれば則ち之を残(ほろ)ぼす。令を犯し政を陵げば則ち之を杜(ふさ)ぐ。外内乱れ、禽獣の行いあれば、則ち之を滅ぼす。
現代語訳
諸侯を集めて発する禁令は九つある。弱い国につけこみ、小国を侵した者は、その領地を減らす。賢者を損ない民を害した者は、討伐する。国内で暴政を行い国外を侮った者は、君主を廃して別の地に移す。田野を荒らし民を離散させた者は、領地を削る。要害を頼んで服従しない者は、兵を入れて攻める。肉親を殺した者は、罪を正して罰する。君主を追放したり殺したりした者は、滅ぼす。命令に背き政治を侮った者は、交わりを断って封じ込める。内外ともに乱れ、人倫に外れた獣のような行いをする者は、国ごと滅ぼす。
解説
天子が諸侯を集めて示す九つの禁令で、罪の種類と罰の重さを一つずつ対応させている。弱小国を侵せば領地を減らし、暴政なら君主を移し、君主殺しなら滅ぼす、というように、罪が重いほど罰も重くなる。罰の名である眚・壇・杜などには古来さまざまな解釈があるが、どれも段階を踏んで重くなる構造は変わらない。前の節の六つの統治法と対になり、ふだんは制度と信頼で治めつつ、越えてはならない一線とその報いを前もって明らかにしておく、という周の封建秩序の考え方を伝える。罰を場当たりに決めず事前に公示する点は、法家の明法の考えにも通じる。組織でも、何をすればどうなるかがはっきりしていれば、処分は恣意ではなく規律として受け止められる。
関連する章句
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司馬法・仁本敵若し之を傷つけば、医薬して之を帰せ」と。既に有罪を誅すれば、王及び諸侯其の国を修正し、賢を挙げ明を立て、厥(そ)の職を正し復す。王・覇の諸侯を治むる所以の者は六。土地を以て諸侯を形し、政令を以て諸侯を平らげ、礼信を以て諸侯を親しみ、材力を以て諸侯を説(よろこ)ばし、謀人を以て諸侯を維(つな)ぎ、兵革を以て諸侯を服す。
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司馬法・天子之義軍に在りては抗して立ち、行に在りては遂(すす)みて果たし、介者は拝せず、兵車は式せず、城上は趨らず、危事は歯(よわい)せず。故に礼と法とは表裏なり。文と武とは左右なり。古は、賢王民の徳を明らかにし、民の善を尽くす、故に廃徳無く、簡民無く、賞は生ずる所無く、罰は試みる所無し。有虞氏は賞せず罰せずして民用うべし、至徳なり。夏は賞して罰せず、至教なり。殷は罰して賞せず、至威なり。周は賞罰を以てす、徳衰うるなり。
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司馬法・仁本六徳は時を以て合わせ教え、以て民紀の道と為すなり。古よりの政なり。先王の治は、天の道に順い、地の宜しきを設け、民の徳を官(つかさど)らせ、而して名を正し物を治め、国を立て職を弁じ、爵を以て禄を分かつ。諸侯説(よろこ)び懐き、海外来たり服し、獄弭(や)みて兵寝(や)む、聖徳の治なり。其の次は、賢王礼楽法度を制し、乃ち五刑を作り、甲兵を興して、以て不義を討つ。方を巡狩し、諸侯を会し、同じからざるを考う。其の命を失い常を乱し、徳に背き天に逆らう時有りて、有功の君を危うくせば、偏(あまね)く諸侯に告げ、罪有るを彰明す。乃ち皇天上帝、日月星辰に告げ、后土・四海の神祇、山川・冢社に禱り、乃ち先王に造(いた)る。然る後に冢宰(ちょうさい)師を諸侯に徴して曰く、「某国不道を為す、之を征せよ。某年月日を以て、師は某国に至り天子に会して刑を正せ」と。冢宰百官と令を軍に布きて曰く、「罪人の地に入らば、神祇を暴(あら)すこと無かれ、田猟を行うこと無かれ、土功を毀つこと無かれ、牆屋を燔(や)くこと無かれ、林木を伐ること無かれ、六畜・禾黍・器械を取ること無かれ。
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司馬法・仁本天下既に平らぎ、天子大いに愷(がい)し、春は蒐(しゅう)し秋は獮(せん)す。諸侯は春に旅を振い、秋に兵を治む。戦を忘れざる所以なり。古は、奔るを逐うこと百歩を過ぎず、綏(すい)を縦(お)うこと三舎を過ぎず、是を以て其の礼を明らかにす。不能を窮めずして傷病を哀憐す、是を以て其の義を明らかにす。列を成して皷(こ)す、是を以て其の信を明らかにす。
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司馬法・定爵国に居りては和し、軍に在りては法あり、刃上には察す。国に居りては好を見し、軍に在りては方を見し、刃上には信を見す。凡そ陳は、行くには惟れ疏(そ)に、戦うには惟れ密に、兵は惟れ雑う。人の教え厚ければ、静かにして乃ち治まり、威利章(あき)らかなり。相守るに義あれば、則ち人勉め、慮多く成れば、則ち人服す。時中に服し、厥の次治まる。物既に章らかなれば、目乃ち明らかなり。慮既に定まれば、心乃ち強し。進退に疑い無く、敵を見て謀る無し。誅を聴きては、其の名を誰(と)うこと無く、其の旗を変うること無かれ。凡そ事は、善なれば則ち長く、古に因れば則ち行われ、誓い作(おこ)りて章らかなれば、人乃ち強く、厲祥を滅ぼす。厲を滅ぼすの道は、一に曰く義、之を被(おお)うに信を以てし、之に臨むに強を以てし、基を成し、天下の形を一にし、人説ばざる莫し、是れを兼ねて其の人を用うと謂う。一に曰く権、其の溢るるを成し、其の好むところを奪い、我は其の外よりし、自ら其の内よりせしむ。一に曰く人、二に曰く正、三に曰く辞、四に曰く巧、五に曰く火、六に曰く水、七に曰く兵、是れを七政と謂う。栄、利、恥、死、是れを四守と謂う。容色積威は、意を改むるに過ぎず、凡そ此れ道なり。唯だ仁のみ親しむ有り、仁有りて信無ければ、反って厥の身を敗る。人は人とし、正は正とし、辞は辞とし、火は火とす。凡そ戦いの道は、既に其の気を作し、因りて其の政を発し、之に仮すに色を以てし、之を道(みちび)くに辞を以てし、懼れに因りて戒め、欲に因りて事とし、敵を蹈み地を制し、職を以て之に命ず、是れを戦法と謂う。凡そ人の形は、衆の求むるに由り、試みるに名行を以てし、必ず善く之を行う。若し行わんとして行わざれば、身以て之を将い、若し行わんとして行えば、因りて忘るること勿からしめ、三たびして乃ち章を成す。人生の宜しき、之を法と謂う。
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司馬法・定爵法を立つるは、一に曰く受、二に曰く法、三に曰く立、四に曰く疾、五に曰く其の服を御(おさ)む、六に曰く其の色を等しくす、七に曰く百官に淫服無し。凡そ軍は、法をして己に在らしむるを専と曰い、下と与に法を畏るるを法と曰う。軍に小聴無く、戦いに小利無く、日に成り微に行う、道と曰う。凡そ戦いに正行われざれば則ち事専らにし、服せざれば則ち法あり、相信ぜざれば則ち一にす。若し怠れば則ち之を動かし、若し疑えば則ち之を変じ、若し人上を信ぜざれば、則ち其の復せざるを行う。古よりの政なり。
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