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武家拾要記抄録 / 嘉言篇・賞罰の公正と争いへの臨み方

一賞罰を取行はるゝ時、內相がたのあつかひ又愚僧の裁判一切用ゆべからず、諸法度一つも相そむきたる輩ある時、其役人見のがし聞のがし、或は私の用捨あるべからず、惣じて旗下の諸士は組頭の下知次第に進退すべきのよし、かね〱告知らしむべし、一朋友のきりむすびたる所へ行かゝりては、汝等死後までの狼狽者になるぞとて、眞中にわけ入子細を聞届け、よく和らぐべし、若陣中にて喧嘩口論ある時、其塲へ一切家人出すべからず、陣所にて何樣の俄事ありとも、よのつねの如く居たる人を油斷といふべからず、驚き騷ぐは心がけなき至りなり、

新字:一賞罰を取行はるゝ時、内相がたのあつかひ又愚僧の裁判一切用ゆべからず、諸法度一つも相そむきたる輩ある時、其役人見のがし聞のがし、或は私の用捨あるべからず、惣じて旗下の諸士は組頭の下知次第に進退すべきのよし、かね〱告知らしむべし、一朋友のきりむすびたる所へ行かゝりては、汝等死後までの狼狽者になるぞとて、真中にわけ入子細を聞届け、よく和らぐべし、若陣中にて喧嘩口論ある時、其塲へ一切家人出すべからず、陣所にて何様の俄事ありとも、よのつねの如く居たる人を油断といふべからず、驚き騷ぐは心がけなき至りなり、

書き下し

一賞罰を取行はるゝ時、內相がたのあつかひ又愚僧の裁判一切用ゆべからず、諸法度一つも相そむきたる輩ある時、其役人見のがし聞のがし、或は私の用捨あるべからず、惣じて旗下の諸士は組頭の下知次第に進退すべきのよし、かね〱告知らしむべし、一朋友のきりむすびたる所へ行かゝりては、汝等死後までの狼狽者になるぞとて、眞中にわけ入子細を聞届け、よく和らぐべし、若陣中にて喧嘩口論ある時、其塲へ一切家人出すべからず、陣所にて何樣の俄事ありとも、よのつねの如く居たる人を油斷といふべからず、驚き騷ぐは心がけなき至りなり、

現代語訳

一つ、賞罰を行うときは、内々の取りなしや、愚僧(筆者自身)の裁きを一切用いてはなりません。諸法度に一つでも背いた者がいるとき、その役人が見逃し、聞き逃し、あるいは私情で大目に見てはなりません。すべて旗本の諸士は、組頭の指図しだいで動くようにと、かねて告げ知らせておくべきです。一つ、友人同士が仲違いして切り結んでいるところへ行き合わせたら、お前たちは死んだ後まで慌て者と言われるぞと言って、真ん中に割って入り、事情を聞き届けて、よく和解させるべきです。もし陣中で喧嘩口論があるときは、その場へ家来を一切出してはなりません。陣所でどのような急な出来事があっても、いつもどおり落ち着いて居る人を、油断しているとは言えません。驚き騒ぐのは心がけのない至りです。

解説

賞罰は私情や縁故を交えず、法度に照らして公正に行うこと、争いには巻き込まれず仲裁に入ること、急事にも動じないことを説く章句です。陣中という場面ですが、組織運営の原則として読めます。管理職は、評価や処分に個人的な好き嫌いや口利きを持ち込まないことが信頼の土台です。また、部下同士の対立には早く間に入り、事情を聞いて和らげたいものです。突発のトラブルでも落ち着いて対応する姿が、チームの安心につながります。
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この章句が説くこと

『武家拾要記抄録』山本屠竜軒賞罰公正仲裁冷静

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