洗心洞箚記 / 卷下・第百三十一條
其因讀書至宇宙二字、解曰、四方上下曰宇、往古來今曰宙、忽大省曰、元來無窮、人與天地萬物、皆在無窮中者也、宇宙內事、乃己分內事、己分內事、乃宇宙內事、東海有聖人出焉、此心同也、此理同也、西海有聖人出焉、此心同也、此理同也、南海北海有聖人出焉、此心同也、此理同也、千萬世之上、至千百世之下、有聖人出焉、則此心同也、此理同也、道外無事、事外無道、道理只是眼前道理、雖見到聖人田地、亦只是眼前道理等之諸說、雖前古未發之言、旣膾炙人口、而人今爲厭聞、是非言之罪也、人之罪也、然要見陸子之學之純、則只在於明實理做實事、與拈出愛敬之良於人欲昏處而已矣、自餘諸說、概其註脚也夫、
新字:其因読書至宇宙二字、解曰、四方上下曰宇、往古来今曰宙、忽大省曰、元来無窮、人与天地万物、皆在無窮中者也、宇宙内事、乃己分内事、己分内事、乃宇宙内事、東海有聖人出焉、此心同也、此理同也、西海有聖人出焉、此心同也、此理同也、南海北海有聖人出焉、此心同也、此理同也、千万世之上、至千百世之下、有聖人出焉、則此心同也、此理同也、道外無事、事外無道、道理只是眼前道理、雖見到聖人田地、亦只是眼前道理等之諸説、雖前古未発之言、既膾炙人口、而人今為厭聞、是非言之罪也、人之罪也、然要見陸子之学之純、則只在於明実理做実事、与拈出愛敬之良於人欲昏処而已矣、自余諸説、概其註脚也夫、
書き下し
其の書を読みて宇宙の二字に至るに因り、解して曰く、四方上下を宇と曰ひ、往古来今を宙と曰ふ、と。忽ち大いに省みて曰く、元来無窮なり。人と天地万物とは、皆無窮の中に在る者なり。宇宙内の事は、乃ち己が分内の事、己が分内の事は、乃ち宇宙内の事なり。東海に聖人出づる有らんも、此の心同じきなり、此の理同じきなり。西海に聖人出づる有らんも、此の心同じきなり、此の理同じきなり。南海北海に聖人出づる有らんも、此の心同じきなり、此の理同じきなり。千万世の上より、千百世の下に至るまで、聖人出づる有らんも、則ち此の心同じきなり、此の理同じきなり。道の外に事無く、事の外に道無し。道理は只だ是れ眼前の道理、聖人の田地を見到ると雖も、亦只だ是れ眼前の道理なり等の諸説は、前古未発の言と雖も、既に人口に膾炙して、人今厭き聞くと為す。是れ言の罪に非ず、人の罪なり。然れども陸子の学の純を見んと要せば、則ち只だ実理を明らかにし実事を做すと、愛敬の良を人欲の昏ます処に拈出するとに在るのみ。自余の諸説は、概ね其の註脚なるかな。
現代語訳
陸子が書を読んで「宇宙」の二字に至ったとき、「四方上下を宇といい、往古来今を宙という」と解して、たちまち大いに悟って言った。「もともと無窮なのだ。人と天地万物は、みな無窮の中にあるものである。宇宙の内の事は自分の分の内の事であり、自分の分の内の事は宇宙の内の事である。東の海に聖人が出ても、この心は同じであり、この理は同じである。西の海に聖人が出ても、この心は同じであり、この理は同じである。南の海、北の海に聖人が出ても、この心は同じであり、この理は同じである。千万世の昔から千百世の後に至るまで、聖人が出れば、この心は同じであり、この理は同じである」。「道の外に事はなく、事の外に道はない」「道理はただ目の前の道理であり、聖人の境地に見至っても、やはりただ目の前の道理である」などの諸説は、古人がまだ言わなかった言葉ではあるが、すでに人の口にのぼりすぎて、今では人は聞き飽きている。これは言葉の罪ではなく、人の罪である。しかし陸子の学の純粋さを見ようとするなら、ただ実の理を明らかにし実の事を行うことと、愛と敬の良心を人欲に暗まされた所からつまみ出すことにあるだけである。その他の諸説は、おおむねその注釈にすぎないのである。
解説
この章句が説くこと
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『呻吟語』内篇・修身・心を大にし虛にし平にし潛め定む其の心を大にして天下の物を容れ、其の心を虛にして天下の善を受け、其の心を平にして天下の事を論じ、其の心を潛めて天下の理を觀、其の心を定めて天下の變に應ず。
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