洗心洞箚記 / 卷下・第九十五條
大程子曰、天人本無二、不必言合、只是一個誠、天地萬物鬼神本無二、謹按、程子之學、以誠爲主、敬其功也、然則從濂溪先生誠字來、是其嫡血也、故朱子曰、程子之學、以誠爲本、而其謂天人無二、則人固天也、而天之爲德、一誠而已矣、故人歸乎太虛、則亦只一誠而已矣、生天生地、成鬼成帝、皆是誠之德也、故程子又曰、天卽性、性卽心、所以生天生地化育萬物、陽明先生亦曰、良知是造化的精靈、這些精靈、生天生地、成鬼成帝、皆從此出、眞是與物無對、程王之說如合符、而陽明先生所云良知卽天之虛靈、其萬古不易而一者、卽誠也、非有二也、
新字:大程子曰、天人本無二、不必言合、只是一個誠、天地万物鬼神本無二、謹按、程子之学、以誠為主、敬其功也、然則従濂渓先生誠字来、是其嫡血也、故朱子曰、程子之学、以誠為本、而其謂天人無二、則人固天也、而天之為徳、一誠而已矣、故人帰乎太虚、則亦只一誠而已矣、生天生地、成鬼成帝、皆是誠之徳也、故程子又曰、天即性、性即心、所以生天生地化育万物、陽明先生亦曰、良知是造化的精霊、這些精霊、生天生地、成鬼成帝、皆従此出、真是与物無対、程王之説如合符、而陽明先生所云良知即天之虚霊、其万古不易而一者、即誠也、非有二也、
書き下し
大程子曰く、天人本より二無し、必ずしも合と言はず。只だ是れ一個の誠なり。天地万物鬼神本より二無し、と。謹んで按ずるに、程子の学は、誠を以て主と為し、敬は其の功なり。然らば則ち濂渓先生の誠の字より来る、是れ其の嫡血なり。故に朱子曰く、程子の学は誠を以て本と為す、と。而して其の天人二無しと謂ふは、則ち人固より天なり。而して天の徳たる、一誠のみ。故に人太虚に帰すれば、則ち亦た只だ一誠のみ。天を生じ地を生じ、鬼を成し帝を成す、皆是れ誠の徳なり。故に程子又曰く、天は即ち性、性は即ち心、天を生じ地を生じ万物を化育する所以なり、と。陽明先生も亦た曰く、良知は是れ造化の精霊なり、這些の精霊、天を生じ地を生じ、鬼を成し帝を成す、皆此より出づ、真に是れ物と対する無し、と。程王の説符を合はすが如し。而して陽明先生の云ふ所の良知は即ち天の虚霊にして、其の万古易らずして一なる者は、即ち誠なり、二有るに非ざるなり。
現代語訳
大程子(程顥)は言う。「天と人とはもともと二つではない。わざわざ『合する』と言う必要もない。ただ一つの誠があるだけだ。天地・万物・鬼神ももともと二つではない」。謹んで考えると、程子の学は誠を主とし、敬はその工夫である。そうであれば、濂渓先生(周敦頤)の「誠」の字から来たもので、その正統の血筋である。だから朱子も「程子の学は誠を根本とする」と言った。そして天と人は二つでないと言う以上、人はもとより天である。天の徳はただ一つの誠にすぎない。だから人が太虚に帰れば、やはりただ一つの誠があるだけだ。天を生み地を生み、鬼を成し帝を成すのは、みな誠の徳である。それで程子はまた「天はすなわち性、性はすなわち心であり、それが天を生み地を生み万物を化育するものだ」と言った。陽明先生(王守仁)もまた「良知は造化の精霊である。この精霊が天を生み地を生み、鬼を成し帝を成す。すべてここから出る。まことに物と対立するものがない」と言う。程子と王子の説は割符を合わせたように一致する。陽明先生のいう良知とは天の虚霊であり、その万古変わらず一つであるものが誠であって、二つあるのではない。
解説
この章句が説くこと
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