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洗心洞箚記 / 卷下・第四十四條

伐則憂寐不穩、是乃功累心也、致良知、則奚足誇區區功哉、如孟之反者、於奔而殿之一事、可謂不欺良知之大丈夫矣、故夫子取其勇而讓、誇文章筆墨之小技者、宜見此章、及註中謝氏之說以知恥矣、

新字:伐則憂寐不穏、是乃功累心也、致良知、則奚足誇区区功哉、如孟之反者、於奔而殿之一事、可謂不欺良知之大丈夫矣、故夫子取其勇而譲、誇文章筆墨之小技者、宜見此章、及註中謝氏之説以知恥矣、

書き下し

伐(ほこ)れば則ち憂へて寐(い)ぬること穏かならず、是れ乃ち功の心を累はすなり。良知を致さば、則ち奚ぞ区区の功を誇るに足らんや。孟之反の如き者は、奔りて之に殿(しんがり)するの一事に於て、良知を欺かざるの大丈夫と謂ふべし。故に夫子其の勇にして譲れるを取る。文章筆墨の小技を誇る者は、宜しく此の章、及び註中謝氏の説を見て、以て恥を知るべし。

現代語訳

手柄を誇れば、心配で夜もおちおち眠れなくなる。これは手柄が心を煩わせているのである。良知を発揮しきれば、どうしてちっぽけな手柄など誇るに足りようか。孟之反(魯の大夫)のような人は、敗走する軍のしんがりを務めたという一事において、自分の良知を欺かなかった立派な男子と言うべきである。だから孔子は、彼の勇気とへりくだりとを評価したのだ。文章や筆墨といった小さな技を誇る者は、この章(『論語』雍也篇)と、その注にある謝氏(謝良佐)の説を読んで恥を知るべきである。

解説

手柄を誇る心がかえって心を乱すことを、『論語』雍也篇の孟之反の故事で説く条である。孟之反は敗走の殿を務めながら「馬が進まなかっただけだ」と言って功を誇らなかった。中斎はこれを、良知を欺かない態度と読む。致良知の学では、功は外から心を縛るものにすぎない。現代でも、成果を誇示したくなる気持ちが評価への不安を生み、眠れなくなることがある。誇らないことは謙遜の作法ではなく、自分の心を軽く保つ工夫なのである。

この章句が説くこと

良知致良知功謙譲心孟之反

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