格言聯璧 / 惠吉類・凡事の上に虧を吃すること三分
心田培一點,子種孫收。 要好兒孫,須方寸中放寬一步。 欲成家業,宜凡事上吃虧三分。 留福與兒孫,未必盡黃金白鏹。 種心為產業,由來皆美宅良田。
新字:心田培一点,子種孫収。 要好児孫,須方寸中放寛一歩。 欲成家業,宜凡事上吃虧三分。 留福与児孫,未必尽黄金白鏹。 種心為産業,由来皆美宅良田。
書き下し
心田一點を培へば、子種ゑ孫收む。 好き兒孫を要せば、須らく方寸の中一步を放寬すべし。 家業を成さんと欲せば、宜しく凡事の上に虧を吃すること三分なるべし。 福を留めて兒孫に與ふるは、未だ必ずしも盡く黃金白鏹ならず。 心を種ゑて產業と為さば、由來皆美宅良田なり。
現代語訳
心の田を少しでも培えば、子が種をまき孫が収穫します。 よい子や孫がほしければ、心の中で一歩ゆとりを持たせなければなりません。 家業を築きたいなら、何事においても三分は損を引き受けるのがよいのです。 子や孫に福を残すのは、必ずしも黄金や白銀ばかりではありません。 心を植えて財産とすれば、昔からそれこそがみな立派な屋敷やよい田畑なのです。
解説
一行目は前の単位の「世事讓三分」と対になり、心の田に少し養いを加えれば、その実りは子孫に及ぶと言います。続く対句は、子孫と家業という家の二つの願いに、心のゆとりと三分の損という答えを出しています。方寸は心のことです。吃虧は損をかぶることで、目先の得を少し譲る人のほうが、結局は家を栄えさせるという考えです。最後の対句は、子孫に残すべきは金銀ではなく、心という田畑だとまとめます。白鏹は銀の塊、銀貨のことです。相続や事業承継を考えるときにも、財産より先に家の気風を渡すことの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
家訓子孫謙譲積徳心
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