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洗心洞箚記 / 卷上・第四十三條

火自石出、不愼諸始、則延燒以燎屋、才自心出、不愼諸微、則詐誕終亡德、莊子未嘗毀春夏秋冬、以其自太虛出焉而不僞也、而毀仁義禮智、以其不自太虛出焉而不眞也、雖其不自太虛出焉而不眞、則仁義禮智不足取、孟子貶五霸亦同一意、而豈可概非莊說哉、此非平心而好學者、難與議之也、

新字:火自石出、不慎諸始、則延焼以燎屋、才自心出、不慎諸微、則詐誕終亡徳、荘子未嘗毀春夏秋冬、以其自太虚出焉而不偽也、而毀仁義礼智、以其不自太虚出焉而不真也、雖其不自太虚出焉而不真、則仁義礼智不足取、孟子貶五覇亦同一意、而豈可概非荘説哉、此非平心而好学者、難与議之也、

書き下し

火は石より出づ。諸を始めに慎まずんば、則ち延焼して以て屋を燎く。才は心より出づ。諸を微に慎まずんば、則ち詐誕にして終に徳を亡ぼす。荘子は未だ嘗て春夏秋冬を毀らず。其の太虚より出でて偽らざるを以てなり。而して仁義礼智を毀る。其の太虚より出でずして真ならざるを以てなり。其の太虚より出でずして真ならずと雖も、則ち仁義礼智も取るに足らず。孟子の五霸を貶するも亦同一の意なり。而して豈に概ね荘説を非とすべけんや。此れ平心にして学を好む者に非ずんば、与に之を議し難きなり。

現代語訳

火は石から出る。始めに慎まなければ、燃え広がって家を焼く。才は心から出る。かすかなうちに慎まなければ、偽りやでたらめとなって、ついには徳を滅ぼす。荘子は春夏秋冬をそしったことがない。それが太虚から出て偽りがないからである。しかし仁義礼智をそしった。それが太虚から出ず真でないからである。太虚から出ず真でないなら、仁義礼智であっても取るに足りない。孟子が五霸を貶めたのも同じ意味である。どうして荘子の説をひとまとめに否定できようか。これは心を平らかにして学を好む者でなければ、ともに論じにくいことである。

解説

第四十三条は、火が石から出て始めに慎まねば家を焼くように、才も心から出て、兆しのうちに慎まねば偽りとなり徳を亡ぼすと戒める。第四十四条は、荘子が四季をそしらず仁義を謗ったのは、仁義が太虚から出ない偽りになっていたからで、孟子が五霸を貶めたのと同じ趣旨だとして、荘子を一概に退けない。才能を誇る危うさと、異なる学派の言葉にも真実を見る公平さとが並ぶ。優秀な人ほど才の使い方を慎み、立場の違う意見にも耳を傾けよという教えとして読める。

この章句が説くこと

才太虚仁義荘子孟子好学

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