潜夫論 / 實邊
先聖製法,亦務實邊,蓋以安中國也。譬猶家人遇寇賊者,必使老小羸軟居其中央,丁強武猛衛其外。內人奉其養,外人禦其難。蛩蛩距虛,更相恃仰,乃俱安存。詔書法令:二十萬口,邊郡十萬,歲舉孝廉一人,員除世舉廉吏一人。羌反以來,戶口減少,又數易太守,至十歲不得舉,當職勤勞而不錄,賢俊蓄積而悉,衣冠無所覬望,農夫無所貪利,是以逐稼中災,莫肯就外。古之利其民,誘之以利,弗脅以刑。《易》曰:「先王以省方觀民設教。」是故建武初得邊郡,戶雖數百,令歲舉孝廉,以召來人。今誠宜權時,令邊郡舉孝一人,廉吏世舉一。又益置明經百石一人,內郡人將妻子來召著。五歲以上,與居民同,均皆得選舉。又募運民,耕邊入穀,遠郡千斛,近郡二千斛,拜爵五大夫。可不欲爵者,使食倍賈於內郡。如此,君子小人,各有所利,則雖欲令無往,弗能正也。均此苦樂,平徭役,充邊境,安中國之要術也。
新字:先聖製法,亦務実辺,蓋以安中国也。譬猶家人遇寇賊者,必使老小羸軟居其中央,丁強武猛衛其外。内人奉其養,外人禦其難。蛩蛩距虚,更相恃仰,乃倶安存。詔書法令:二十万口,辺郡十万,歳舉孝廉一人,員除世舉廉吏一人。羌反以来,戸口減少,又数易太守,至十歳不得舉,当職勤労而不録,賢俊蓄積而悉,衣冠無所覬望,農夫無所貪利,是以逐稼中災,莫肯就外。古之利其民,誘之以利,弗脅以刑。《易》曰:「先王以省方観民設教。」是故建武初得辺郡,戸雖数百,令歳舉孝廉,以召来人。今誠宜権時,令辺郡舉孝一人,廉吏世舉一。又益置明経百石一人,内郡人将妻子来召著。五歳以上,与居民同,均皆得選舉。又募運民,耕辺入穀,遠郡千斛,近郡二千斛,拝爵五大夫。可不欲爵者,使食倍賈於内郡。如此,君子小人,各有所利,則雖欲令無往,弗能正也。均此苦楽,平徭役,充辺境,安中国之要術也。
書き下し
先聖法を製するも、亦た辺を実たすを務むるは、蓋し以て中国を安んずるなり。譬えば猶お家人の寇賊に遇うや、必ず老小羸軟をして其の中央に居らしめ、丁強武猛をして其の外を衛らしむるが如し。内の人は其の養を奉じ、外の人は其の難を禦ぐ。蛩蛩と距虚と、更ごも相い恃み仰ぎ、乃ち俱に安存す。詔書の法令に、二十万口、辺郡は十万、歳に孝廉一人を挙げ、員除は世に廉吏一人を挙ぐ。羌反して以来、戸口減少し、又数しば太守を易え、十歳に至るまで挙ぐるを得ず。職に当たって勤労すれども録されず、賢俊蓄積して悉く、衣冠覬望する所無く、農夫利を貪る所無し。是を以て稼を逐いて中に災い、肯えて外に就く莫し。古の其の民を利するは、之を誘うに利を以てし、脅すに刑を以てせず。《易》に曰く、「先王以て方を省み民を観て教えを設く」と。是の故に建武の初め辺郡を得て、戸数百と雖も、令して歳に孝廉を挙げ、以て来人を召く。今誠に宜しく時に権り、辺郡をして孝一人を挙げしめ、廉吏世ごとに一を挙げしむべし。又益して明経百石一人を置き、内郡の人の妻子を将いて来り召著する者、五歳以上は、居民と同じく、均しく皆選挙を得しむ。又運民を募り、辺に耕して穀を入れしめ、遠郡は千斛、近郡は二千斛、爵五大夫を拝す。爵を欲せざる者は、食を内郡の倍賈にせしむ。是くの如くんば、君子・小人、各おの利する所有り、則ち往かざらしめんと欲すと雖も、正す能わざるなり。此の苦楽を均しくし、徭役を平らかにし、辺境を充たすは、中国を安んずるの要術なり。
現代語訳
先の聖人が法を定めたとき、辺境を充実させることに努めたのは、中国(内地)を安んじるためでした。たとえば、家の者が賊に遭ったとき、必ず老人や子ども、弱い者を中央に置き、壮健で勇猛な者を外側で守らせるのと同じです。内の者は養いを捧げ、外の者はその難を防ぐ。蛩蛩と距虚のように、互いに頼り仰ぎ合って、ともに安全に保たれます。詔書の法令には、人口二十万のうち辺境の郡では十万ごとに、毎年孝廉一人を推挙し、欠員の補充にも世ごとに廉吏一人を推挙するとあります。羌が反してから戸口が減り、さらに太守がしばしば交代し、十年に至るまで推挙できませんでした。職務に当たって勤労しても記録されず、賢俊が蓄積されても任用されず、官人は望みを抱けず、農夫は利益を貪る機会もありません。そのため稼ぎを追って内地で災いに遭っても、辺境に就こうとする者はいません。昔は民を利するとき、利益で誘い、刑で脅しませんでした。『易』に「先王は方々を省み民を観て教えを設けた」とあります。だから建武の初め、辺境の郡を得た際には、戸数が数百でも、毎年孝廉を挙げるよう命じ、来る人を招きました。いまはまことに時宜に応じ、辺境の郡に孝一人を挙げさせ、廉吏を世ごとに一人挙げさせるべきです。さらに明経百石一人を増設し、内地の人が妻子を連れて来て定着した場合は、五年以上たてば居民と同じく、みな選挙(推挙)を受けられるようにします。また運搬の民を募り、辺境で耕して穀物を納めさせ、遠い郡は千斛、近い郡は二千斛で、爵五大夫を授けます。爵を望まない者には、内地の倍の価格で食糧を買い取らせます。このようにすれば、君子も小人もそれぞれ利を得られ、行かせまいとしても止められません。この苦楽を均しくし、徭役を平らかにし、辺境を充実させることこそ、中国を安んじる要の術なのです。
解説
この章句が説くこと
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