潜夫論 / 斷訟
今以適矣,無顏複入甲門,縣官原之,故令使留所既入家。必未昭亂之本原,不惟貞潔所生者之言也。貞女不二心以數變,故有匪石之詩;不枉行以遺憂,故美歸寧之誌。一許不改,蓋所以長貞潔而寧父兄也。其不循此而二三其德者,此本無廉恥之家,不貞專之所也。若然之人,又何醜吝。輕薄父兄,淫僻婦女,不惟義理,苟疏一德,借本治生,逃亡抵中,卒以致於刳腹芟頸滅宗之禍者,何所無之?先王因人情喜怒之所能已者,則為之立禮製而崇德讓;人所可已者,則為之設法禁而明賞罰。今市賣勿相欺,婚姻無相詐,非人情之不可能者也。是故不若立義順法,遏絕其原,初雖慚吝於一人,然其終也長利於萬世。小懲而大戒,此所以全小而濟頑凶也。
新字:今以適矣,無顔複入甲門,県官原之,故令使留所既入家。必未昭乱之本原,不惟貞潔所生者之言也。貞女不二心以数変,故有匪石之詩;不枉行以遺憂,故美帰寧之誌。一許不改,蓋所以長貞潔而寧父兄也。其不循此而二三其徳者,此本無廉恥之家,不貞専之所也。若然之人,又何醜吝。軽薄父兄,淫僻婦女,不惟義理,苟疏一徳,借本治生,逃亡抵中,卒以致於刳腹芟頸滅宗之禍者,何所無之?先王因人情喜怒之所能已者,則為之立礼製而崇徳譲;人所可已者,則為之設法禁而明賞罰。今市売勿相欺,婚姻無相詐,非人情之不可能者也。是故不若立義順法,遏絶其原,初雖慚吝於一人,然其終也長利於万世。小懲而大戒,此所以全小而済頑凶也。
書き下し
今以に適きて、顔無く複た甲の門に入る、県官之を原し、故に令して既に入れる家に留まらしむ。必ず未だ乱の本原を昭らかにせず、貞潔の生ずる所の者の言を惟わざるなり。貞女は二心して以て数しば変ぜず、故に匪石の詩有り。行いを枉げて以て憂いを遺さず、故に帰寧の志を美す。一たび許して改めざるは、蓋し貞潔を長じ父兄を寧んずる所以なり。其の此に循わずして其の徳を二三にする者は、此れ本より廉恥無きの家、貞専ならざるの所なり。然る人の若きは、又た何の醜吝せん。父兄を軽薄にし、婦女を淫僻にし、義理を惟わず、苟くも一徳を疏にし、本を借りて生を治め、逃亡して中に抵り、卒に以て刳腹芟頸滅宗の禍を致す者は、何れの所にか無からん。先王は人情の喜怒の能く已む所の者に因りて、則ち之が為に礼製を立てて徳譲を崇び、人の已む可き所の者は、則ち之が為に法禁を設けて賞罰を明らかにす。今市売に相欺く勿れ、婚姻に相詐る無かれとは、人情の能くす可からざる所に非ざるなり。是の故に義を立て法に順い、其の原を遏絶するに若かず。初めは一人に慚吝すと雖も、其の終わりや長く万世に利あり。小しく懲らして大いに戒む、此れ小を全うして頑凶を済う所以なり。
現代語訳
(前段から続いて)すでに嫁いでしまい、顔向けできずに再び甲の家の門に入ることもできないとき、県官はこれを許し、すでに入った家にとどまらせました。これは乱れの本当の源をまだ明らかにしておらず、貞潔を守る者の言い分も考えていません。貞女は二心を持って何度も変わることがないので、石ではない(心は転がされない)という詩があります。行いを曲げて憂いを残さないので、里帰りの志が称えられます。一度許したら改めないのは、貞潔を伸ばし父兄を安んじる道です。これに従わず徳を二つ三つにする者は、もともと廉恥のない家、貞節を専らにしない所です。そのような人に、どんな恥じらいがあるでしょうか。父兄を軽んじ、婦女を淫らに偏らせ、義理を考えず、かりそめに一つの徳を疎かにして、資本を借りて暮らしを立て、逃げ隠れして途中で行き詰まり、ついに腹を割かれ首を刈られ一族が滅ぶ禍を招く者は、どこにもいるものです。先王は、人情の喜怒のうち自然に収まるものには礼制を立てて徳と譲りを尊び、収めるべきなのに収まらないものには法禁を設けて賞罰を明らかにしました。今、市での売買で欺くな、婚姻で偽るなということは、人情にできないことではありません。ですから、義を立て法に従い、その源を断つのが一番です。はじめは一人に恥や惜しみがあっても、その終わりは長く万世の利益となります。小さく懲らして大きく戒める、これが小さな害を全うして頑固な凶事を救う方法です。
解説
この章句が説くこと
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