潜夫論 / 斷訟
夫立法之大要,必令善人勸其德而樂其政,邪人痛其禍而悔其行。諸一女許數家,雖生十子,更百赦,勿令得蒙一還私家,則此奸絕矣。不則髡其夫妻,徙千里外劇縣,乃可以毒其心而絕其後,奸亂絕則太平興矣。又貞潔寡婦,或男女備具,財貨富饒,欲守一醮之禮,成同冗之義,執節堅固,齊懷必死,終無更許之慮。遭值不仁世叔,無義兄弟,或利其娉幣,或貪其財賄,或私其兒子,則強中欺嫁,處迫脅遣送。人有自縊房中,飲藥車上,絕命喪軀,孤捐童孩,此猶迫脅人命自殺也。或後夫多設人客,威力脅載,守將抱執,連日乃綬,與強掠人為妻無異。婦人軟弱,猥為眾強所扶與執迫,幽磘連日,後雖欲複修本誌,嬰絹吞藥(下有缺文)。
新字:夫立法之大要,必令善人勧其徳而楽其政,邪人痛其禍而悔其行。諸一女許数家,雖生十子,更百赦,勿令得蒙一還私家,則此奸絶矣。不則髡其夫妻,徙千里外劇県,乃可以毒其心而絶其後,奸乱絶則太平興矣。又貞潔寡婦,或男女備具,財貨富饒,欲守一醮之礼,成同冗之義,執節堅固,斉懐必死,終無更許之慮。遭値不仁世叔,無義兄弟,或利其娉幣,或貪其財賄,或私其児子,則強中欺嫁,処迫脅遣送。人有自縊房中,飲薬車上,絶命喪躯,孤捐童孩,此猶迫脅人命自殺也。或後夫多設人客,威力脅載,守将抱執,連日乃綬,与強掠人為妻無異。婦人軟弱,猥為衆強所扶与執迫,幽磘連日,後雖欲複修本誌,嬰絹呑薬(下有欠文)。
書き下し
夫れ法を立つるの大要は、必ず善人をして其の徳を勧みて其の政を楽しましめ、邪人をして其の禍を痛みて其の行いを悔いしむ。諸の一女数家に許さば、十子を生むと雖も、百赦を更ると雖も、一たびも私家に還るを蒙らしむる勿くんば、則ち此の奸は絶えん。不ずんば則ち其の夫妻を髡し、千里の外の劇県に徙さば、乃ち以て其の心を毒して其の後を絶つ可く、奸乱絶えて則ち太平興らん。又た貞潔の寡婦、或いは男女備わり、財貨富饒にして、一醮の礼を守り、同冗の義を成さんと欲し、節を執ること堅固にして、斉懐必死、終に更に許すの慮い無し。不仁の世叔、無義の兄弟に遭値し、或いは其の娉幣を利し、或いは其の財賄を貪り、或いは其の児子を私し、則ち強中して欺き嫁がせ、迫脅して遣送す。人の房中に自ら縊り、車上に薬を飲み、命を絶ち躯を喪い、孤を捐つる童孩有り。此れ猶お人の命を迫脅して自殺せしむるがごとし。或いは後夫多く人客を設け、威力もて脅して載せ、守将抱執し、日を連ねて乃ち綬く、強いて人を掠めて妻と為すと異なる無し。婦人は軟弱にして、猥りに衆強の扶与執迫する所と為り、幽磘すること日を連ね、後に複た本志を修めんと欲すと雖も、絹を嬰い薬を呑む(下に缺文有り)。
現代語訳
法を立てる大きな要点は、必ず善い人にはその徳を励みとさせてその政を楽しませ、悪い人にはその禍を痛感させてその行いを悔いさせることです。一人の女性を数家に許した場合は、十人の子を生んでも、百回の恩赦を経ても、一度も実家に戻らせないようにすれば、この悪事は絶えるでしょう。そうでなければ、その夫妻の髪を剃り、千里の外の難治の県に移せば、その心に痛みを与えてその後を絶つことができ、悪事と乱れが絶えれば太平が興るでしょう。また、貞潔な寡婦で、子どもたちがそろい、財産も豊かで、一度の嫁入りの礼を守り、同じ道を成し遂げようとして、節を堅く守り、必死の覚悟で、決して再び嫁ぐ考えのない人がいます。ところが不仁の叔父や無義の兄弟に遭い、結納金を利し、財産を貪り、子どもを私物にしようとして、無理に押さえつけて騙して嫁がせ、脅して送り出します。部屋で自ら首をくくり、車の上で薬を飲み、命を絶ち身を失い、幼い孤児を残す例もあります。これは人の命を脅して自殺させるのと同じです。また、後夫が多くの客を用意し、威力で脅して車に乗せ、番人が抱えて押さえ、何日もたってようやく縄を解くというのは、無理やり人を奪って妻にするのと変わりません。女性は弱く、むやみに大勢の強い者に支えられ押さえつけられて、何日も閉じ込められ、後に本来の志を取り戻そうとしても、(以下欠文)。
解説
この章句が説くこと
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司馬法・嚴位若し将に復た戦わんとすれば、則ち賞罰を重くす。
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『潜夫論』正列旧時、京師は動功を防がず、禁を造りて以来、吉祥応瑞、子孫昌熾なること、前に過ぐる能わず。且つ夫れ君を以て臣を畏れ、上を以て下を需むれば、則ち必ず弱きを示して陵がれを取らん、殆ど福を致すの招きに非ざるなり。嘗て上記を観るに、人君の身修まり正しく賞罰明らかなる者は、国治まりて民安し。民安楽なれば、天悦喜して曆数を増す。故に『書』に曰く、「王は小民を以て、天の永命を受く」と。孔子曰く、「天の助くる所の者は、順なり。人の助くる所の者は、信なり」と。信を履みて順を思い、又以て賢を尚ぶ、是を以て天より之を祐け、吉にして利しからざる無し、此れ最も凶災を却けて福善を致すの本なり。
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『帝範』賞罰第九夫(そ)れ天(てん)の物(もの)を育(そだ)つるは、猶(な)ほ君(きみ)の衆(しゅう)を御(ぎょ)するがごとし。天(てん)は寒暑(かんしょ)を以(も)って徳(とく)と為(な)し、君(きみ)は仁愛(じんあい)を以(も)って心(こころ)と為(な)す。寒暑(かんしょ)既(すで)に調(ととの)へば、則(すなは)ち時(とき)に疾疫(しつえき)無(な)く、風雨(ふうう)節(ふし)ならざれば、則(すなは)ち嵗(とし)に饑寒(きかん)有(あ)り。仁愛(じんあい)下(しも)に施(ほどこ)さるれば、則(すなは)ち人(ひと)凋弊(ちょうへい)せず、教令(きょうれい)度(ど)を失(うしな)へば、則(すなは)ち政(まつりごと)に乖違(かいい)有(あ)り。其(そ)の害(がい)の源(みなもと)を防(ふせ)ぎ、其(そ)の利(り)の本(もと)を開(ひら)く。罰(ばつ)を顯(あき)らかにして以(も)って之(これ)を威(おど)し、賞(しょう)を明(あき)らかにして以(も)って之(これ)を化(か)す。威(い)立(た)てば則(すなは)ち惡(あく)なる者(もの)懼(おそ)れ、化(か)行(おこな)はるれば則(すなは)ち善(ぜん)なる者(もの)勸(すす)む。己(おのれ)に適(かな)ひて道(みち)に妨(さまた)ぐれば、禄(ろく)を加(くは)へず、己(おのれ)に逆(さか)らひて國(くに)に便(べん)なれば、刑(けい)を施(ほどこ)さず。故(ゆゑ)に賞(しょう)せらるる者(もの)は君(きみ)を徳(とく)とせず、功(こう)の致(いた)す所(ところ)なればなり。罰(ばっ)せらるる者(もの)は上(かみ)を怨(うら)みず、罪(つみ)の當(あた)る所(ところ)なればなり。故(ゆゑ)に書(しょ)に曰(いは)く、偏(かたよ)る無(な)く黨(とう)する無(な)ければ、王道(おうどう)蕩蕩(とうとう)たりと。此(こ)れ賞罰(しょうばつ)の權(けん)なり。
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