潜夫論 / 述赦
今不顯行賞罰以明善惡,嚴督牧守以擒奸猾,而反數赦以勸之其文常曰:「謀反大逆不道諸犯,不當得赦,皆除之,將與士大夫灑心更始。」歲歲灑之,然未嘗見奸人冗吏,有肯變心悔服稱詔者也。有司奏事,又俗以赦前之微過,妨今日之顯舉。然則改往修來,更始之詔亦不信也。詩譏「君子屢盟,亂是用長」,故不若希其令,必其言,若良不能子無赦者,罕之為愈。令世歲老古時一赦,則奸宄之減十八九,可勝必也。
新字:今不顕行賞罰以明善悪,厳督牧守以擒奸猾,而反数赦以勧之其文常曰:「謀反大逆不道諸犯,不当得赦,皆除之,将与士大夫灑心更始。」歳歳灑之,然未嘗見奸人冗吏,有肯変心悔服称詔者也。有司奏事,又俗以赦前之微過,妨今日之顕舉。然則改往修来,更始之詔亦不信也。詩譏「君子屡盟,乱是用長」,故不若希其令,必其言,若良不能子無赦者,罕之為愈。令世歳老古時一赦,則奸宄之減十八九,可勝必也。
書き下し
今顕らかに賞罰を行いて以て善悪を明らかにし、牧守を厳督して以て奸猾を擒うること無く、而して反って数しば赦して以て之を勧む、其の文は常に曰く、「謀反大逆不道の諸犯は、赦を得べからず、皆之を除き、将に士大夫と心を灑ぎ更始せんとす」と。歳歳之を灑ぐも、然れども未だ嘗て奸人冗吏の、肯えて心を変え悔い服して詔を称うる者有るを見ず。有司事を奏するに、又俗は赦前の微過を以て、今日の顕挙を妨ぐ。然れば則ち往を改め来を修むるは、更始の詔も亦た信ならざるなり。詩に「君子屢しば盟えば、乱是を用て長ず」と譏る、故に其の令を希にし、其の言を必にするに若かず、若し良く子無赦を能わざる者は、之を罕にするを愈れりと為す。世をして歳老いて古の時に一赦せしめば、則ち奸宄の減ずること十に八九、勝つ可きこと必なり。
現代語訳
今は賞罰をはっきりと行って善悪を明らかにすることも、州牧や太守を厳しく監督して悪賢い者を捕らえることもなく、かえってたびたび赦して悪を勧めています。その詔にはいつも、「謀反や大逆不道の諸犯は、赦してはならないが、それ以外は皆除き、士大夫とともに心を洗って新たに始めよう」とあります。毎年これで洗っても、悪人や役人の中に、進んで心を改め、悔いて服従し詔にかなった者がいるのを見たことがありません。役所が事を上奏するときも、世間は赦の前の小さな過ちを理由に、今日の明らかな告発を妨げます。そうなれば、過去を改め将来を整えるという更始の詔も、信用できません。詩は、「君子がたびたび盟えば、乱がそのために長引く」と風刺しています。だから命令を少なくし、言葉を確実にするほうがよいのです。もし赦を全くなくすことができないなら、できるだけ稀にしたほうがよいのです。もし昔の時のように年を経て一度赦すなら、悪事は十のうち八、九は減り、勝つことは必ずできるでしょう。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『潜夫論』勸將軍起こりて以来、師を暴すこと五年、兵を典る吏、将の下千を以て数え、大小の戦、歳に十百合あり、而るに功有ること希なり。其の敗るるを歴察するに、他の故無し、皆な将は変勢に明らかならず、士は死敵に勧まざればなり。其の士の死する能わざるは、乃ち其の将の効す能わざればなり。賞を言えば則ち与えず、罰を言えば則ち行われず、士は進めば独り死するの禍有り、退けば衆生の福を蒙る。此れ陣に臨みて戦を亡い、競いて奔北を思う所以なり。
-
『韓非子』八經第四十八有道の主は言を聽きて、其の用を督し、其の功を課し、功課して賞罰生ず、故に無用の辯朝に留まらず。
-
『韓非子』外儲説右上第三十四乃ち輟めて客を殺さず、大いに之を礼して、曰く、「曩者季の文の為にせざるを聞く、故に之を殺さんと欲す。今誠に文の為にするなり、豈に季を忘れんや」と。廩に告げて千石の粟を献ぜしめ、府に告げて五百金を献ぜしめ、騶に告げて私の廐の良馬固車二乗を献ぜしめ、因りて奄をして宮人の美妾二十人を将ゐて并せて季に遺らしむるなり。欒子因りて相謂ひて曰く、「公の為にする者は必ず利あり、公の為にせざる者は必ず害あり、吾曹何ぞ愛みて公の為にせざらん」と。因りて私に競ひ勧めて遂に之が為にす。薛公は人臣の勢を以て、人主の術を仮るなり、而して害生ずるを得ず、況んや之を人主に錯くをや。夫れ烏を馴らす者は其の下翎を断つ。
-
『呻吟語』外篇・治道・生殺の外に示す無し其の次は賞罰を示す。其の次は生殺を示して、敢へて然らざらざらしむ。蓋し生殺を示すに至りて、世を御するの術窮まれり。叔季の世は、生殺より外に示す無きなり。悲しいかな。
-
『韓非子』初見秦第一今秦は号令を出だして賞罰を行ひ、功有ると功無きと相事とす。其の父母の懐衽の中より出でて、生まれて未だ嘗て寇を見ざるのみ。戦ひを聞けば、足を頓し徒裼し、白刃を犯し、鑪炭を踏み、死を前に断ずる者皆是れなり。夫れ死を断ずると生を断ずるとは同じからず、而るに民之を為す者は、是れ奮死を貴べばなり。
-
言志四録・言志録 第四十九条 賞罰に私を容れず天工を助くる者は、我従ひて之を賞す。天物を戕ふ者は、我従ひて之を罰す。人君は私を容るるに非ず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る