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潜夫論 / 述赦

凡民所以輕為盜賊,吏之所以易作奸匿者,以赦贖數而有僥望也。若使犯罪之人,終身被命,得而必刑,則計奸之謀破而慮惡之心絕矣。夫良贖可,孺子可令妲,中庸之人,可弘而下。故其諺曰:「一歲載赦,奴兒噫嗟。」言王誅不行,則痛瘀之子皆輕犯,況狡乎?若誠思畏盜賊多而奸不勝故赦,則是為國為奸冗報也。夫天道賞善而刑淫,天工人其代之。故凡立王者,將以誅邪惡而養正善,而以逞邪惡逆妄莫甚焉。且夫國無常治,又無常亂。法令行則國治,法令弛則國亂。法無常行,法無常弛。君敬法則法行,君慢法則法弛。昔孝明帝時,製舉茂才,過闕謝恩,賜食事訖,問何異聞。對曰:「巫有劇賊九人,刺史數以竊郡,訖不能得。」帝曰:「汝非部南郡從事邪?」對曰:「是。」帝乃振怒,曰:「賊發部中而不能擒,然材何以為茂?」捶數百,便免官,而切讓州郡,十日之間,賊即伏誅。由此觀之,擒滅盜賊,在於明法,不在數赦。

新字:凡民所以軽為盗賊,吏之所以易作奸匿者,以赦贖数而有僥望也。若使犯罪之人,終身被命,得而必刑,則計奸之謀破而慮悪之心絶矣。夫良贖可,孺子可令妲,中庸之人,可弘而下。故其諺曰:「一歳載赦,奴児噫嗟。」言王誅不行,則痛瘀之子皆軽犯,況狡乎?若誠思畏盗賊多而奸不勝故赦,則是為国為奸冗報也。夫天道賞善而刑淫,天工人其代之。故凡立王者,将以誅邪悪而養正善,而以逞邪悪逆妄莫甚焉。且夫国無常治,又無常乱。法令行則国治,法令弛則国乱。法無常行,法無常弛。君敬法則法行,君慢法則法弛。昔孝明帝時,製舉茂才,過闕謝恩,賜食事訖,問何異聞。対曰:「巫有劇賊九人,刺史数以窃郡,訖不能得。」帝曰:「汝非部南郡従事邪?」対曰:「是。」帝乃振怒,曰:「賊発部中而不能擒,然材何以為茂?」捶数百,便免官,而切譲州郡,十日之間,賊即伏誅。由此観之,擒滅盗賊,在於明法,不在数赦。

書き下し

凡そ民の軽がるしく盗賊を為す所以、吏の奸匿を作し易き所以の者は、赦贖数しばなるを以て僥望有ればなり。若し犯罪の人をして、終身命を被り、得て必ず刑せしめば、則ち奸を計るの謀破れて悪を慮るの心絶えん。夫れ良贖は可なり、孺子をして妲ならしむ可く、中庸の人は、弘めて下す可し。故に其の諺に曰く、「一歳に載た赦せば、奴児噫嗟す」と。言うこころは王誅行われざれば、則ち痛瘀の子も皆軽がるしく犯す、況んや狡をや。若し誠に盗賊多くして奸勝えざるを畏れて赦すと思わば、則ち是れ国を為むること奸の冗報を為すなり。夫れ天道は善を賞して淫を刑し、天工は人其れ之に代わる。故に凡そ王者を立つるは、将に以て邪悪を誅して正善を養わんとするなり、而るに以て邪悪逆妄を逞しくするは焉より甚しきは莫し。且つ夫れ国に常治無く、又常乱無し。法令行わるれば則ち国治まり、法令弛めば則ち国乱る。法は常に行わるる無く、法は常に弛む無し。君法を敬えば則ち法行われ、君法を慢にすれば則ち法弛む。昔孝明帝の時、製して茂才を挙げ、闕を過ぎて恩を謝し、食を賜い事訖わりて、何の異聞ぞと問う。対えて曰く、「巫に劇賊九人有り、刺史数しば郡を竊むを以て、訖に得る能わず」と。帝曰く、「汝は南郡に部せる従事に非ずや」と。対えて曰く、「是なり」と。帝乃ち振怒して曰く、「賊部中に発して擒うる能わず、然らば材は何を以て茂ならんや」と。捶つこと数百、便ち官を免じ、而して切に州郡を譲め、十日の間に、賊即ち伏誅す。此に由りて之を観れば、盗賊を擒滅するは、法を明らかにするに在り、数しば赦すに在らざるなり。

現代語訳

民が軽々しく盗賊になり、役人が不正を働きやすいのは、赦免や贖罪が頻繁で、期待を抱かせるからです。もし罪を犯した者が、生涯命令を受け、捕まれば必ず刑罰を受けるなら、不正を企てる謀はくじけ、悪を思う心は絶えるでしょう。良い贖いなら許されます。幼い者を従順にさせることもでき、中庸の人は広めて下すこともできます。だから諺に、「一年に何度も赦すと、奴の子が嘆く」といいます。これは王の誅罰が行われなければ、痛い目に遭った子も皆軽々しく罪を犯し、まして悪賢い者はなおさらだという意味です。もし本当に盗賊が多くて悪事を抑えきれないことを恐れて赦すのなら、それは国を治めるのに悪事への余計な見返りを払うことです。天の道は善を賞して悪を罰し、天の仕事を人が代わって行います。だから王を立てるのは、邪悪を誅して正しい者を養うためであり、邪悪で逆らう者がほしいままにするのは、これ以上ひどいことはありません。さらに、国には常に治まっているということも、常に乱れているということもありません。法令が行われれば国は治まり、法令が緩めば国は乱れます。法は常に行われるわけではなく、常に緩むわけでもありません。君主が法を敬えば法は行われ、君主が法を軽んじれば法は緩みます。昔、孝明帝のとき、制科で茂才に挙げられた者が宮門で恩に謝し、食事を賜って終わり、帝がどんな珍しい話を聞いているかと尋ねました。彼は答えました。「巫県には凶悪な賊が九人おり、刺史は何度も郡を襲われたのに、とうとう捕らえられませんでした。」帝は言いました。「あなたは南郡を担当する従事ではないか。」彼は答えました。「そうです。」帝は怒り、言いました。「賊が管轄内に出て捕らえられないのに、茂才の名がどうして立つのか。」数百回打ち、すぐに官を免じ、州や郡を厳しく責めたところ、十日の間に賊は捕らえられて誅されました。これから見れば、盗賊を捕らえて滅ぼすのは、法を明らかにすることにあり、たびたび赦すことにはありません。

解説

赦が頻繁だと民と役人が罰を軽く見るようになる、という論点を、諺と孝明帝の逸話で裏づける段です。法令は常に有効でも常に無効でもなく、君主が法を重んじるかどうかで決まるという一般論が、中心の主張です。帝が責任を負う従事を打ち、州郡を叱責したところ十日で賊が捕らえられたという話は、責任を明確にして厳正に当たれば結果が出ることを示します。現代でも、責任の所在をあいまいにして対処を先送りすれば、問題は長引きます。トップの姿勢が現場の規律を決めるという、組織運営への示唆が読み取れます。

この章句が説くこと

述赦明法責任孝明帝規律潜夫論

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