尚書 / 泰誓中
百姓有過,在予一人。今朕必往,我武惟揚,侵于之疆,取彼兇殘,我伐用張,于湯有光。勖哉夫子,罔或無畏,寧執非敵。百姓檁檁,若崩厥角。嗚呼!乃一德一心,立定厥功,惟克永世。」
新字:百姓有過,在予一人。今朕必往,我武惟揚,侵于之疆,取彼兇残,我伐用張,于湯有光。勖哉夫子,罔或無畏,寧執非敵。百姓檁檁,若崩厥角。嗚呼!乃一徳一心,立定厥功,惟克永世。」
書き下し
百姓過ち有らば、予一人に在り。今朕必ず往かん、我が武惟れ揚がり、之の疆(さかひ)に侵し、彼の兇残を取らん、我が伐用て張り、湯に于いて光有らん。勖(つと)めよや夫子、或いは畏るる無きこと罔かれ、寧ろ敵に非ずと執れ。百姓檁檁(りんりん)として、厥の角を崩すが若し。嗚呼(ああ)、乃ち一徳一心、立ちて厥の功を定めば、惟れ克く世を永くせん。」
現代語訳
民に過ちがあるなら、その責めは私一人にある。今、私は必ず出陣する。我が武威は大いに揚がり、あの(商の)国境に攻め入り、あの凶悪な者を捕らえよう。我が征伐はそれによって広がり、湯王(の桀討伐)よりもなお輝かしいものとなろう。努めよ、将兵たちよ。畏れる心を持たない者があってはならない。むしろ(受は)容易に敵対できる相手ではないと心得よ。民は恐れおののき、獣が角を地に打ちつけるように(額を地につけて救いを求めて)いる。ああ、汝らが徳を一つにし心を一つにして、立ち上がって功を定めるならば、永く世を保つことができよう。」
解説
泰誓中篇の結びである。「百姓過ち有らば予一人に在り」は、民の過ちの責任はすべて君主にあるとする言葉で、『論語』堯曰篇にも引かれる。武王は、湯王の夏討伐に並ぶ光栄を得ようと兵を鼓舞しながらも、敵を侮らず、むしろ手強い相手と心得よと戒める。勝利を確信させつつ油断を戒めるという、指揮官の語り方の手本がここにある。民が恐れおののいて救いを求めている様子を示し、戦いの目的が民の救済にあることも強調する。最後に一徳一心を説き、結束こそが長く世を保つ条件だと結ぶ。部下の失敗を自分の責任として引き受け、士気を上げつつ慢心を戒める姿勢は、今のリーダーにも欠かせない。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・泰誓上亶(まこと)に聡明なるもの、元后と作り、元后は民の父母と作る。今商王受、上天を敬せず、災を下民に降し、沈湎して色を冒し、敢て暴虐を行ふ。人を罪するに族を以てし、人を官するに世を以てす。惟れ宮室・台榭・陂池・侈服、以て爾万姓を残害す。忠良を焚炙し、孕婦を刳剔(こてき)す。皇天震怒し、我が文考に命じ、粛みて天威を将(おこな)はしむるも、大勛未だ集(な)らず。肆(ゆゑ)に予小子発、爾友邦の冢君を以て、政を商に観るに、惟れ受悛(あらた)むる心有る罔く、乃ち夷居して、上帝神祗に事へず、厥の先の宗廟を遺てて祀らず。犧牲粢盛(しせい)、既に兇盗に于(ゆ)く。乃ち曰く、『吾民有り命有り』と、其の侮を懲らす罔し。天下民を佑け、之が君を作り、之が師を作る。惟れ其れ克く上帝を相け、四方を寵綏せしむ。罪有ると罪無きと、予曷ぞ敢て厥の志を越ゆること有らん。力を同じくすれば徳を度り、徳を同じくすれば義を度る。受臣億万有れども、惟れ億万心なり。予臣三千有り、惟れ一心なり。商の罪貫盈し、天命じて之を誅す、予天に順はずんば、厥の罪惟れ鈞(ひと)し。予小子夙夜祗み懼れ、命を文考に受け、上帝に類し、冢土に宜し、爾有衆を以て、天の罰を厎(いた)さん。天民を矜(あはれ)み、民の欲する所、天必ず之に従ふ。爾尚はくは予一人を弼(たす)け、永く四海を清めよ。時なるかな、失ふべからず。」
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尚書・泰誓下肆(ゆゑ)に予小子、誕(おほ)いに爾衆士を以て、乃の讎を殄殲(てんせん)せん。爾衆士其れ尚はくは迪(ふ)みて果毅にして、以て乃の辟を登(な)せ。功多ければ厚賞有り、迪まざれば顕戮有り。嗚呼(ああ)、惟れ我が文考、日月の照臨するが若く、四方に光り、西土に顕らかなり。惟れ我が有周、誕いに多方を受く。予受に克たば、予の武に非ず、惟れ朕が文考罪無ければなり。受予に克たば、朕が文考罪有るに非ず、惟れ予小子良無ければなり。」
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尚書・泰誓下時れ厥の明、王乃ち大いに六師を巡り、明らかに衆士に誓ふ。王曰く、「嗚呼(ああ)、我が西土の君子、天に顕道有り、厥の類惟れ彰らかなり。今商王受、五常を狎侮し、荒怠して敬せず。自ら天に絶ち、怨を民に結ぶ。朝に渉る者の脛を斮(き)り、賢人の心を剖く。威を作し殺戮して、四海を毒痡(どくふ)す。奸回を崇信し、師保を放黜し、典刑を屏棄し、正士を囚奴にし、郊社修めず、宗廟享せず、奇技淫巧を作して以て婦人を悦ばしむ。上帝順はず、祝(ことごと)く時の喪を降す。爾其れ孜孜として、予一人を奉じ、恭しく天罰を行へ。古人言へる有り、曰く、『我を撫すれば則ち後(きみ)、我を虐ぐれば則ち讎』と。独夫受、洪(おほ)いに惟れ威を作す、乃ち汝の世讎なり。
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尚書・泰誓中惟れ戊午、王河朔に次(やど)る。群后師を以て畢く会す。王乃ち師を徇(めぐ)りて誓ひて曰く、「嗚呼(ああ)、西土の有衆、咸朕が言を聴け。我聞く、
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尚書・泰誓中今商王受、力めて無度を行ひ、犁老(りろう)を播棄し、罪人に昵比す。淫酗肆虐し、臣下之に化す。朋家仇を作し、権を脅かして相滅ぼし、無辜天に籲(さけ)び、穢徳彰聞す。惟れ天は民を恵み、惟れ辟(きみ)は天を奉ず。有夏の桀、天に若ふ克はず、毒を下国に流す、天乃ち成湯を佑命し、夏の命を降黜す。惟れ受の罪桀より浮(す)ぐ、元良を剥喪し、諫輔を賊虐し、己に天命有りと謂ひ、敬は行ふに足らずと謂ひ、祭は益無しと謂ひ、暴は傷無しと謂ふ、厥の監遠からず、彼の夏王に在り。天其れ予を以て民を乂めしめんとす、朕が夢朕が卜に協ひ、休祥を襲(かさ)ぬ、商を戎(う)てば必ず克たん、
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尚書・泰誓上惟れ十有三年、春、大いに孟津に会す。王曰く、「嗟(ああ)、我が友邦の冢君(ちょうくん)、越(およ)び我が御事庶士、明らかに誓を聴け。
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