導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

潜夫論 / 述赦

今夫性惡之人,居家不孝悌,出入不恭敬,輕薄慢傲,凶悍無辨,明以威侮侵利為行,以賊殘酷虛為賢,故數陷王法者。此乃民之賊,下愚極惡之人也。雖脫桎梏而出囹圄,終無改悔之心。自詩以羸敖頭,出獄踧踖,復犯法者何不然?洛陽至有主諧合殺人者,謂之會任之家。受人十萬,謝客數千,又重饋部吏,吏興通奸,利入深重,幡黨盤牙,請至貴戚寵臣。說聽於上,謁行於下,是故雖嚴令尹終不能破攘斷絕,何者?凡敢為大奸者,材必有過於眾而能自媚於上者也。多散苟得之財,奉以諂諛之辭,以轉相驅,非有第五公之廉直,孰能不為顧。今案洛陽主殺人者,高至數十,下至四五,身不死則殺不止,皆以數赦之所致也。由此觀之,大惡之資,終不可化。雖歲適勸奸耳,惑之三辰有候,天氣當赦,故人主順之而施德焉,未必殺也。

新字:今夫性悪之人,居家不孝悌,出入不恭敬,軽薄慢傲,凶悍無弁,明以威侮侵利為行,以賊残酷虚為賢,故数陥王法者。此乃民之賊,下愚極悪之人也。雖脱桎梏而出囹圄,終無改悔之心。自詩以羸敖頭,出獄踧踖,復犯法者何不然?洛陽至有主諧合殺人者,謂之会任之家。受人十万,謝客数千,又重饋部吏,吏興通奸,利入深重,幡党盤牙,請至貴戚寵臣。説聴於上,謁行於下,是故雖厳令尹終不能破攘断絶,何者?凡敢為大奸者,材必有過於衆而能自媚於上者也。多散苟得之財,奉以諂諛之辞,以転相駆,非有第五公之廉直,孰能不為顧。今案洛陽主殺人者,高至数十,下至四五,身不死則殺不止,皆以数赦之所致也。由此観之,大悪之資,終不可化。雖歳適勧奸耳,惑之三辰有候,天気当赦,故人主順之而施徳焉,未必殺也。

書き下し

今夫れ性悪の人は、家に居て孝悌せず、出入りに恭敬ならず、軽薄慢傲、凶悍にして辨無く、明らかに威侮侵利を以て行と為し、賊残酷虐を以て賢と為す、故に数しば王法に陥る者なり。此れ乃ち民の賊、下愚極悪の人なり。桎梏を脱して囹圄を出ると雖も、終に改悔の心無し。詩の羸敖頭を以てするより、出獄して踧踖たるも、復た法を犯す者は何ぞ然らざらん。洛陽には至りては謀合して人を殺すを主る者有り、之を会任の家と謂う。人より十万を受け、客に数千を謝し、又重く部吏に饋り、吏通奸を興し、利の入ること深重にして、幡党盤牙し、請いは貴戚寵臣に至る。説は上に聴かれ、謁は下に行われ、是の故に厳令尹と雖も終に破攘断絶する能わず、何者ぞ、凡そ敢えて大奸を為す者は、材必ず衆に過ぐる有りて能く自ら上に媚ぶる者なり。多く苟得の財を散じ、奉するに諂諛の辞を以てし、以て転た相い駆り、第五公の廉直有るに非ずんば、孰か能く顧みざる為らん。今案ずるに洛陽の人を殺すを主る者、高きは数十に至り、下は四五、身死せざれば則ち殺止まず、皆数しばの赦の致す所なり。此に由りて之を観れば、大悪の資は、終に化す可からず。歳ごとに奸を勧むるに適うのみと雖も、惑いては三辰に候有り、天気当に赦すべしとして、故に人主之に順いて徳を施すも、未だ必ずしも殺さざるなり。

現代語訳

生まれつき悪い人は、家では親や兄に孝悌を尽くさず、出入りに慎みがなく、軽薄で傲慢、乱暴で分別がなく、はっきりと威圧や侮りや利の奪い取りを行いとし、人を傷つけ残酷であることを賢いと思います。だからしばしば王法に陥ります。これは民の害であり、きわめて愚かで悪い者です。手かせ足かせを脱し牢獄を出ても、結局は改心も後悔もありません。詩にあるように、獄を出てびくびくしていても、再び法を犯す者がそうでないはずがありません。洛陽には、共謀して人を殺すことを取り仕切る者がおり、これを会任の家と呼びます。人から十万を受け取り、客には数千を返し、さらに役人に多くの贈り物をして、役人は不正を働き、利益は深く大きく、徒党が根を張り、頼みごとは貴戚や寵臣にまで及びます。その話は上で聞き入れられ、訴えは下で行われるので、厳しい令尹がいても断ち切れません。なぜか。大きな悪事をあえて行う者は、必ず才能が人にすぐれ、上に取り入ることのできる者だからです。不正に得た財を多くばらまき、へつらいの言葉で奉じ、互いに引き込み合います。第五公のような清廉で正直な人でなければ、誰が振り向かずにいられるでしょうか。いま洛陽で殺人を請け負う者を調べると、多い者は数十人、少なくても四、五人を殺し、本人が死なない限り殺しは止まりません。皆、たびたびの赦がもたらしたものです。これから見れば、大悪の素質は結局変えられません。毎年悪を勧める結果になるだけだと言われても、人は惑い、天の三辰に兆しがあれば、天の気が赦すべき時だとして君主はこれに従って徳を施しますが、必ずしも殺さないとは限りません。

解説

赦への批判の続きで、洛陽の請負殺人の組織を例に、悪が制度の隙を利用して根を張る様を描きます。才ある悪人が上に取り入り、金とへつらいで役人を巻き込む構図は、後漢の官界の腐敗への批判として書かれています。原文の末尾は文意が取りにくいところもあり、訳は前後の筋に合わせました。現代でも、不正は個人の悪意だけでなく、見逃す仕組みや取り込まれる管理者によって続きます。ガバナンスでは、清廉な人を一人置くより、金や人情が上に取り入る経路を断つ設計が欠かせないという教訓になります。

この章句が説くこと

述赦洛陽請負殺人不正ガバナンス潜夫論

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る