省諐録 / 第42条
有之。無所補。無之。無所損。乃無用之學也。有用之學。譬如夏時之葛。冬時之裘。脫無爲之者。則生民之用闕矣。
新字:有之。無所補。無之。無所損。乃無用之学也。有用之学。譬如夏時之葛。冬時之裘。脱無為之者。則生民之用闕矣。
書き下し
之有るも補ふ所無く、之無きも損なふ所無きは、乃ち無用の學なり。有用の學は、譬へば夏時の葛、冬時の裘のごとし。脫し之を爲す者無くんば、則ち生民の用闕けん。
現代語訳
それがあっても補うものがなく、なくても損なうものがないなら、それは無用の学問です。有用の学問は、たとえば夏の葛の布、冬の毛皮の衣のようなものです。もしそれを作る者がいなければ、人々の暮らしの用が欠けてしまいます。
解説
ある学問が有用かどうかを、あってもなくても変わらないかで判定する、簡潔な基準を示す条です。有用な学問は、夏の葛の衣や冬の毛皮の衣のように、季節に応じて暮らしに欠かせないものとされます。つまり、それを担う者がいなければ、人々の生活に不足が生じるかどうかが試金石です。前の条の儒者批判を受けて、学問の価値を役に立つかどうかに置く姿勢が簡明に述べられています。現代の仕事でも、自分の担当業務や社内の会議、資料が、なくなったら誰かが困るものか、という問いで見直してみると、続ける仕事と手放す仕事の判断がしやすくなります。
この章句が説くこと
有用無用学問の価値暮らし役に立つ省諐録
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