省諐録 / 第38・39条
人譽己。於己何加。若因譽而自怠。則反損。人毀己。於己何損。若因毀而自強。則反益。有人之過。有事之過。未可以觀人。人之過可以觀人。
新字:人誉己。於己何加。若因誉而自怠。則反損。人毀己。於己何損。若因毀而自強。則反益。有人之過。有事之過。未可以観人。人之過可以観人。
書き下し
人己を譽むるも、己に於いて何をか加へん。若し譽むるに因りて自ら怠らば、則ち反って損なり。人己を毀るも、己に於いて何をか損せん。若し毀るに因りて自ら強むれば、則ち反って益なり。人の過ち有り、事の過ち有り。未だ以て人を觀るべからず。人の過ちは以て人を觀るべし。
現代語訳
人が自分をほめても、自分に何が加わるでしょうか。もしほめられたからといって自分を怠けさせるなら、かえって損になります。人が自分をけなしても、自分から何が損なわれるでしょうか。もしけなされたからといって自らを奮い立たせるなら、かえって益になります。過ちには、人の過ちと、事の過ちとがあります。事の過ちでは、まだその人を見極めることはできません。人の過ちであれば、その人を見極めることができます。
解説
ほめられても自分に何も加わらず、油断すればむしろ損になる。けなされても何も損なわれず、奮起すれば益になる、と評価との距離の取り方を述べます。後半では、過ちを人の過ちと事の過ちに分け、事の過ちからは人を見極められず、人の過ちからは見極められるとします。二つの条を合わせて、外からの評価や失敗の出来事に振り回されず、そこから何を読み取るかが大切だと読めます。現代の仕事でも、称賛に気を緩めず批判を材料にすることや、部下の失敗が状況のせいか本人の姿勢によるのかを分けて見る姿勢が、管理職の判断を安定させます。
この章句が説くこと
毀誉自戒人の過ち事の過ち人物評価省諐録
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