省諐録 / 第13条
行身規矩。則不可不嚴。此治己之方也。治己。卽所以治人。待人規矩。則不可過嚴。此安人之道也。安人。卽所以自安。
新字:行身規矩。則不可不厳。此治己之方也。治己。即所以治人。待人規矩。則不可過厳。此安人之道也。安人。即所以自安。
書き下し
身を行ふの規矩は、則ち嚴ならざるべからず。此れ己を治むるの方なり。己を治むるは、卽ち人を治むる所以なり。人を待つの規矩は、則ち嚴に過ぐべからず。此れ人を安んずるの道なり。人を安んずるは、卽ち自ら安んずる所以なり。
現代語訳
自分の身を行う規範は、厳しくしなければなりません。これが己を治める方法です。己を治めることは、そのまま人を治めることにつながります。人に接する規範は、厳しすぎてはなりません。これが人を安んじる道です。人を安んじることは、そのまま自分を安んじることにつながります。
解説
自分の行いを律する規矩は厳しくし、人に接する規矩は厳しくし過ぎない、という二重の基準を述べる条です。己を治めることがそのまま人を治めることにつながり、人を安んじることがそのまま自分を安んじることにつながる、と循環させて語るのが特徴です。ただ自分に厳しく人に甘いというだけでなく、治己と安人が互いを支えるという構造です。管理職は、部下に求める水準と自分が守る水準が食い違うと信頼を失います。かといって自分と同じ厳しさを他人に課せば、相手は萎縮し、組織の安定も損なわれます。自分には厳しく、相手には安心を与える切り分けが、結局は自分の落ち着きにも返ってきます。
この章句が説くこと
治己安人規矩厳しさ信頼省諐録
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