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政談 / 御藏書籍の事

惣じて御藏の御書物は儒者どもに望み次第に御貸しあるべきことなり、書籍は外の物と變りて兼て見置かずしては急に用にたゝぬものなり、御藏につめ置かれても見る人なければ、反古を積置きたると同然なり、虫に食せて棄てんは惜しきこと甚し、外のもの武具にても皆取出して用ゆれは早速用に立つ、書物は夫とは違ふことなり、

新字:惣じて御蔵の御書物は儒者どもに望み次第に御貸しあるべきことなり、書籍は外の物と変りて兼て見置かずしては急に用にたゝぬものなり、御蔵につめ置かれても見る人なければ、反古を積置きたると同然なり、虫に食せて棄てんは惜しきこと甚し、外のもの武具にても皆取出して用ゆれは早速用に立つ、書物は夫とは違ふことなり、

書き下し

惣じて御蔵の御書物は儒者どもに望み次第に御貸しあるべきことなり、書籍は外の物と変りて兼て見置かずしては急に用にたゝぬものなり、御蔵につめ置かれても見る人なければ、反古を積置きたると同然なり、虫に食せて棄てんは惜しきこと甚し、外のもの武具にても皆取出して用ゆれは早速用に立つ、書物は夫とは違ふことなり、

現代語訳

総じて御蔵の書物は、儒者たちに望みしだいにお貸しになるべきである。書籍はほかの物と違って、かねて見ておかなければ急には役に立たないものである。御蔵に詰めておかれても見る人がなければ、反故を積んでおくのと同然である。虫に食わせて捨てるのはたいへん惜しいことである。ほかの物、武具などでも、皆取り出して用いればすぐに役に立つ。書物はそれとは違うのである。

解説

幕府の御蔵に納められた書物を、儒者に望みしだい貸し出せという提案である。武具なら取り出せばすぐ使えるが、書物はふだんから読んでおかなければ急場で役に立たない。読む人がいなければ反故の山と同じであり、虫に食わせるのは惜しいと徂徠はいう。知識は、持っていることではなく使える人がいることで初めて価値を持つのである。現代の組織でも、資料やデータを厳重に保管するだけで誰も参照できない状態は珍しくない。知識の資産は開いて読ませ、日頃から使わせてこそ生きるものである。

この章句が説くこと

書籍知識学問儒者活用政談

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