政談 / 遊行上人傳馬の事
遊行上人に傳馬を下さるゝことは各別のこと也、埓もなきものゝ先より先きへつきありく宜からざることなり、藤澤を出たるときの、人數を定めて一人も增すまじき也、
新字:遊行上人に伝馬を下さるゝことは各別のこと也、埓もなきものゝ先より先きへつきありく宜からざることなり、藤沢を出たるときの、人数を定めて一人も增すまじき也、
書き下し
遊行上人に伝馬を下さるゝことは各別のこと也、埓もなきものゝ先より先きへつきありく宜からざることなり、藤沢を出たるときの、人数を定めて一人も增すまじき也、
現代語訳
遊行上人(時宗の遊行上人)に伝馬(公用の人馬)を下されるのは特別のことである。とりとめもない者たちが先から先へとついて歩くのはよろしくない。藤沢(の本寺)を出たときの人数を定めて、一人も増やさないようにすべきである。
解説
時宗の遊行上人が諸国を巡るとき、幕府は公用の人馬である伝馬を与えていた。徂徠はこれを特別の扱いと認めたうえで、行く先々で便乗してついて歩く者が増えることを問題にし、本寺の藤沢を出た時点の人数で固定せよと短く提案する。特典や便宜は、対象の範囲を最初に確定しておかなければ、際限なく膨らんでいくものである。現代の組織でも、出張費や交際費、福利厚生の利用範囲をあいまいにしておくと、便乗が積み重なって本来の目的を損なう。枠は始めに決めておくのが要である。
この章句が説くこと
伝馬特権人数規律経費政談
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