政談 / 總して御觸の事
御ふれの文言近年は惡しくなりたり、正德のころより文言廻はり遠きゆゑに、ふれ下への號令は下のよく合點してまがひなきやうにすること肝要なり、此等は經きことのやうなれとも、御ふれのこととも諸大名寫し傳へて遠國まても見ることなる故、文言あしきときは必す下にて評判をするものなり、されは公儀の御役人の粗末なることを天下へ知らする道理なれは嗜むへきことなり、易に號令のことをは視の卦にこれをときて視はしめすとよむ字なり、人に見せしらすることなり、されは號令は天下に知らせ、その文言をも天下の人に見することなれは心を付ること古道也、
新字:御ふれの文言近年は悪しくなりたり、正徳のころより文言廻はり遠きゆゑに、ふれ下への号令は下のよく合点してまがひなきやうにすること肝要なり、此等は経きことのやうなれとも、御ふれのこととも諸大名写し伝へて遠国まても見ることなる故、文言あしきときは必す下にて評判をするものなり、されは公儀の御役人の粗末なることを天下へ知らする道理なれは嗜むへきことなり、易に号令のことをは視の卦にこれをときて視はしめすとよむ字なり、人に見せしらすることなり、されは号令は天下に知らせ、その文言をも天下の人に見することなれは心を付ること古道也、
書き下し
御ふれの文言近年は悪しくなりたり、正徳のころより文言廻はり遠きゆゑに、ふれ下への号令は下のよく合点してまがひなきやうにすること肝要なり、此等は経きことのやうなれとも、御ふれのこととも諸大名写し伝へて遠国まても見ることなる故、文言あしきときは必す下にて評判をするものなり、されは公儀の御役人の粗末なることを天下へ知らする道理なれは嗜むへきことなり、易に号令のことをは視の卦にこれをときて視はしめすとよむ字なり、人に見せしらすることなり、されは号令は天下に知らせ、その文言をも天下の人に見することなれは心を付ること古道也、
現代語訳
御触の文言は近年悪くなった。正徳のころから文言が回りくどくなったので、触れを受ける下への号令は、下がよく納得して紛れのないようにすることが肝要である。これらは軽いことのようであるが、御触のことなどは諸大名が写し伝えて遠国まで見ることになるので、文言が悪いときは必ず下で評判をするものである。そうなれば、公儀の役人の粗末さを天下に知らせる道理であるから、心がけるべきことである。易では号令のことを視(観)の卦で説いており、「しめす」と読む字である。人に見せて知らせることである。だから号令は天下に知らせ、その文言をも天下の人に見せることなのだから、心を付けるのが古の道である。
解説
この章句が説くこと
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