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政談 / 諸役人に器量を選ふ事

當時少し學問もありて十分聖賢の心を徹底せぬ人は、下の申すことを理筋に當れとも少し足らぬ所あれは、其の足ぬ所を直ちに上より敎へて、其の人の云ふことを半は立て半は抑ゆること甚た宜しからさることなり、特に下にものを云はすれは榜示なくなる、是よりして下たるもの我儘を云ふ、云はせぬか善きと量見するたぐひは亦以ての外のことなり、

新字:当時少し学問もありて十分聖賢の心を徹底せぬ人は、下の申すことを理筋に当れとも少し足らぬ所あれは、其の足ぬ所を直ちに上より教へて、其の人の云ふことを半は立て半は抑ゆること甚た宜しからさることなり、特に下にものを云はすれは榜示なくなる、是よりして下たるもの我儘を云ふ、云はせぬか善きと量見するたぐひは亦以ての外のことなり、

書き下し

当時少し学問もありて十分聖賢の心を徹底せぬ人は、下の申すことを理筋に当れとも少し足らぬ所あれは、其の足ぬ所を直ちに上より教へて、其の人の云ふことを半は立て半は抑ゆること甚た宜しからさることなり、特に下にものを云はすれは榜示なくなる、是よりして下たるもの我儘を云ふ、云はせぬか善きと量見するたぐひは亦以ての外のことなり、

現代語訳

当時、少し学問もあって、聖賢の心を十分に徹底していない人は、下の申すことが筋に当たっていても、少し足りないところがあれば、その足りないところをすぐに上から教えて、その人の言うことを半分は立て半分は抑える。これは甚だよろしくないことである。とりわけ、下に物を言わせればけじめがなくなる、これによって下の者がわがままを言う、言わせないのがよいと考える類いは、またもってのほかのことである。

解説

少し学問をかじった上役は、部下の意見の不足をその場で教え、半分認めて半分抑える。徂徠はこれを甚だよろしくないと退ける。下に物を言わせるとけじめがなくなり、わがままを言い出すから言わせないほうがよい、という考えはさらに論外だという。その場で添削するのは親切に見えて、部下の意欲を削ぐ。発言の自由が規律を乱すという恐れが、組織を沈黙させる。指導と抑圧の境目を見誤らないことが求められる。

この章句が説くこと

上申指導学問意見抑圧人材

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