政談 / 御徒士衆與力を頭の心儘に入るゝ事並に御旗本諸役人に召出さるゝ事
人の生付きに文武の差別あり、身も健やかに武藝をも好まは御徒士與力のたくひなるへし、身も弱く働き業を好まさる生れ付きならは、手跡にても算用にても習はせ御勘定御祐筆のたくひなるへし、御代官なとに付け遣はし手代の代りにして、隔りたる國を見せ、山川地の理を知らせ、田舍をも走りありかせたらは、當時親の懷子にて御城下にて育ち、何の譯も知ぬ阿房には勝るへし、
新字:人の生付きに文武の差別あり、身も健やかに武芸をも好まは御徒士与力のたくひなるへし、身も弱く働き業を好まさる生れ付きならは、手跡にても算用にても習はせ御勘定御祐筆のたくひなるへし、御代官なとに付け遣はし手代の代りにして、隔りたる国を見せ、山川地の理を知らせ、田舎をも走りありかせたらは、当時親の懐子にて御城下にて育ち、何の訳も知ぬ阿房には勝るへし、
書き下し
人の生付きに文武の差別あり、身も健やかに武芸をも好まは御徒士与力のたくひなるへし、身も弱く働き業を好まさる生れ付きならは、手跡にても算用にても習はせ御勘定御祐筆のたくひなるへし、御代官なとに付け遣はし手代の代りにして、隔りたる国を見せ、山川地の理を知らせ、田舎をも走りありかせたらは、当時親の懐子にて御城下にて育ち、何の訳も知ぬ阿房には勝るへし、
現代語訳
人の生まれつきには文と武の違いがある。体が丈夫で武芸を好むなら、御徒士や与力の類いがよい。体が弱く、体を使う仕事を好まない生まれつきなら、書でも算用でも習わせて、御勘定や御祐筆の類いにするのがよい。御代官などに付けて遣わし、手代の代わりにして、遠い国を見せ、山川や土地の理を知らせ、田舎を走り回らせれば、今の、親の懐で御城下に育って何の訳も知らない愚か者よりはましであろう。
解説
この章句が説くこと
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