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政談 / 諸役人器量の選別なる事

諸番頭御物頭御舟手等は武備の役なり、其の人抦は古の名將も樣々の人抦あるなれは一概に沙汰すへからす、くは組をよく手に入れてよくつかひこなすを專一とす、此筋は當時なきことなれとも操練のならはしにあらされは知れかたし、當時はたゝ組子の行儀を先きとして、其の職は將師組子は衞士たることを忘るゝは以ての外のことなり、尤も多くの人の頭なれは、をとなしき心にて依怙贔負なきを宜しとす、組子を敎へ込み仕入て御用に立つ人の多く出つるやうに心かくへきこと也、

新字:諸番頭御物頭御舟手等は武備の役なり、其の人抦は古の名将も様々の人抦あるなれは一概に沙汰すへからす、くは組をよく手に入れてよくつかひこなすを専一とす、此筋は当時なきことなれとも操練のならはしにあらされは知れかたし、当時はたゝ組子の行儀を先きとして、其の職は将師組子は衛士たることを忘るゝは以ての外のことなり、尤も多くの人の頭なれは、をとなしき心にて依怙贔負なきを宜しとす、組子を教へ込み仕入て御用に立つ人の多く出つるやうに心かくへきこと也、

書き下し

諸番頭御物頭御舟手等は武備の役なり、其の人抦は古の名将も様々の人抦あるなれは一概に沙汰すへからす、くは組をよく手に入れてよくつかひこなすを専一とす、此筋は当時なきことなれとも操練のならはしにあらされは知れかたし、当時はたゝ組子の行儀を先きとして、其の職は将師組子は衛士たることを忘るゝは以ての外のことなり、尤も多くの人の頭なれは、をとなしき心にて依怙贔負なきを宜しとす、組子を教へ込み仕入て御用に立つ人の多く出つるやうに心かくへきこと也、

現代語訳

諸番頭・御物頭・御舟手などは武備の役である。その人柄は、昔の名将にもさまざまな人柄があったので、一概には論じられない。要は組をよく掌握して、よく使いこなすことを第一とする。この筋は今の時代にはないことだが、操練(軍事訓練)を習わしにしなければわからない。今はただ組子(配下)の行儀を第一として、その職が将帥であり組子が衛士であることを忘れているのはもってのほかである。もっとも多くの人の頭であるから、落ち着いた心でえこひいきのないのがよい。組子を教え込み仕込んで、御用に立つ人が多く出てくるように心がけるべきである。

解説

番頭や物頭など武備の役について、徂徠は名将にもいろいろな型があるので人柄は一概に決められないとしつつ、組を掌握し使いこなすことを第一とする。太平の世に行儀ばかりを重んじ、本来は戦う部隊であることを忘れた風潮を批判し、訓練の中でしか力量はわからないと指摘する。そして配下を教え込み、役に立つ人を多く育てることを頭の務めとする。現代のチームリーダーも、規律や体裁の管理に終始せず、本来の目的に向けて部下を鍛え、育つ場をつくることが求められている。

この章句が説くこと

武備訓練人材組織育成番頭

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