導師導古典を学びたいすべての人に

政談 / 諸役人職分支配を分つ事

又今年鹿島のへんよりあんは大明神の祭りを渡すと云ふことはやり出てゝ村つきに御輿を渡し、下總上總の內をありき、上總の中原と云ふ所に社を立てゝ納めたりと云ふ、本社も無くて天狗のわざのやうなり、田舍に武士住ぬ故、制する人なきなり、此等は唯々一端を擧けて譬とする、兎角諸役人みなつかかれりと云ふことなき故何れも斯の如し、

新字:又今年鹿島のへんよりあんは大明神の祭りを渡すと云ふことはやり出てゝ村つきに御輿を渡し、下総上総の内をありき、上総の中原と云ふ所に社を立てゝ納めたりと云ふ、本社も無くて天狗のわざのやうなり、田舎に武士住ぬ故、制する人なきなり、此等は唯々一端を挙けて譬とする、兎角諸役人みなつかかれりと云ふことなき故何れも斯の如し、

書き下し

又今年鹿島のへんよりあんは大明神の祭りを渡すと云ふことはやり出てゝ村つきに御輿を渡し、下総上総の内をありき、上総の中原と云ふ所に社を立てゝ納めたりと云ふ、本社も無くて天狗のわざのやうなり、田舎に武士住ぬ故、制する人なきなり、此等は唯々一端を挙けて譬とする、兎角諸役人みなつかかれりと云ふことなき故何れも斯の如し、

現代語訳

また今年、鹿島のあたりから「あんば大明神」の祭りを渡すということがはやり出して、村々次々に御輿を渡し、下総・上総の内を歩き、上総の中原という所に社を建てて納めたという。本社もなくて天狗のしわざのようである。田舎に武士が住まないので、制する人がいないのである。これらはただ一端を挙げてたとえとする。とにかく諸役人が皆、つかさどる掛かりということがないので、いずれもこのようである。

解説

この段の結びとして、徂徠は同時代の流行神の騒ぎを挙げる。鹿島周辺から「あんば大明神」の神輿を村から村へ送る祭りがはやり、上総に社まで建てられたが、本社もなく天狗のしわざのようだという。田舎に武士が住まないから制する者がいないのであり、ここで再び武士土着論に戻ってくる。そして全ての原因は、諸役人に定まった担当がないことにあると総括する。目の届かない現場で起こる異変は、担当者不在の組織構造の表れである。現場に責任者を置き、担当を明確にすることが統治の基本なのである。

この章句が説くこと

土着職掌流行現場統治政談

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る