韓非子 / 八姦第九
六曰流行。何謂流行?曰:人主者,固壅其言談,希於聽論議,易移以辯說。
新字:六曰流行。何謂流行?曰:人主者,固壅其言談,希於聴論議,易移以弁説。
書き下し
六に曰く流行。何をか流行と謂ふ。曰く、人主は、固より其の言談を壅がれ、論議を聴くこと希にして、移すに辯説を以てし易し。
現代語訳
六つ目は「流行」、すなわち流言を使うことである。流行とは何か。君主はもともと世間の話から隔てられ、議論を聞く機会がまれなので、弁舌によって心を動かされやすい。
解説
八姦の第六「流行」の冒頭で、君主はもともと世間の言論から隔てられ、議論を耳にする機会が少ないため、弁舌で心を動かされやすいと指摘する句です。高い地位にいるほど、耳に入る情報が限られ、生の議論に触れる機会が減るので、一つの巧みな話に影響されやすくなる、という逆説を突いています。この後、臣下が他国の弁士や国内の口達者を養って、利益や脅威を巧みに語らせ、君主を惑わす手口が述べられます。経営者も、現場の声や反対意見に触れる機会が少ないと、外部のコンサルタントや社内の雄弁な人物の話に過度に影響されがちです。多様な声に触れる経路を自ら確保することが大切です。
関連する章句
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『韓非子』八姦第九人臣為る者は諸侯の辯士を求め、国中の能く説く者を養ひ、之をして以て其の私を語らしむ。巧文の言、流行の辞を為し、之に示すに利勢を以てし、之を懼れしむるに患害を以てし、虚辞を施属して以て其の主を壊る、此を之れ流行と謂ふ。七に曰く威強。何をか威強と謂ふ。
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『韓非子』八姦第九其の説議に於けるや、称誉する者の善とする所、毀疵する者の悪む所、必ず其の能を実にし、其の過ちを察し、群臣をして相為に語らしめず。其の勇力の士に於けるや、軍旅の功は賞を踰ゆる無く、邑闘の勇は罪を赦す無く、群臣をして私財を行はしめず。其の諸侯の求索に於けるや、法なれば則ち之を聴き、法ならざれば則ち之を距ぐ。所謂亡君とは、其の国を有する莫きに非ざるなり、而して之を有する者皆己の有に非ざるなり。臣をして外を以て内に制を為さしむれば、則ち是れ人に君たる者亡ぶ。大国に聴くは亡を救はんが為なり、而して亡ぶこと聴かざるより亟やかなり、故に聴かず。群臣聴かざるを知れば、則ち諸侯に外せず。
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『韓非子』八姦第九凡そ人臣の道りて姦を成す所の者に八術有り。一に曰く同牀に在り。何をか同牀と謂ふ。曰く、貴夫人、愛孺子、便僻好色は、此れ人主の惑ふ所なり。燕処の虞に託し、酔飽の時に乗じて、其の欲する所を求む、此れ必ず聴かるるの術なり。
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『韓非子』八經第四十八故に明王の言は隔塞して通ぜず、周密にして見はれず。故に一を以て十を得るは、下道なり。十を以て一を得るは、上道なり。明主は上下を兼ね行ふ、故に姦失ふ所無し。伍・閭・連・縣にして鄰し、過を謁すれば賞し、過を失へば誅す、上の下に於ける、下の上に於けるも亦然り。是の故に上下貴賤相畏るるに法を以てし、相誨ふるに利を以てす。民の性、生の實有り、生の名有り。君爲る者は賢知の名有り、賞罰の實有り。名實俱に至る、故に福善必ず聞こゆ。六。聽きて參せざれば、則ち以て下を責むる無し。言用に督せざれば、則ち邪說上に當る。言の物爲るや多きを以て信ぜらる、然らざるの物も、十人云へば疑ひ、百人なれば然りとし、千人なれば解くべからざるなり。呐者の言は疑はれ、辯者の言は信ぜらる。姦の上を食むや、資を衆に取り、信を辯に籍り、而して類を以て其の私を飾る。人主忿を饜かずして合參を待てば、其の勢下に資するなり。
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