政談 / 金銀錢員數減少する仔細の事
金銀の數減少したるか爲め世界の困究になることは、金銀大分に持ちたる者は半身代に成るに依りて金を出して米を買ふことならす、之によりて米價下直になる故武家も百姓も皆半身代に成りて世界困窮したるなり、然るを一年至極豐年なる故米價至極に安くなりたりと云ふ人あれとも、夫は世界の全體を呑込まぬ愚眼の人の云ふことなり、尤も豐年なれは米價は安く成るは其事左樣なる筋も少しは手傳ふたるへけれとも、全躰の所左樣なることにてはなし、
新字:金銀の数減少したるか為め世界の困究になることは、金銀大分に持ちたる者は半身代に成るに依りて金を出して米を買ふことならす、之によりて米価下直になる故武家も百姓も皆半身代に成りて世界困窮したるなり、然るを一年至極豊年なる故米価至極に安くなりたりと云ふ人あれとも、夫は世界の全体を呑込まぬ愚眼の人の云ふことなり、尤も豊年なれは米価は安く成るは其事左様なる筋も少しは手伝ふたるへけれとも、全体の所左様なることにてはなし、
書き下し
金銀の数減少したるか為め世界の困究になることは、金銀大分に持ちたる者は半身代に成るに依りて金を出して米を買ふことならす、之によりて米価下直になる故武家も百姓も皆半身代に成りて世界困窮したるなり、然るを一年至極豊年なる故米価至極に安くなりたりと云ふ人あれとも、夫は世界の全体を呑込まぬ愚眼の人の云ふことなり、尤も豊年なれは米価は安く成るは其事左様なる筋も少しは手伝ふたるへけれとも、全体の所左様なることにてはなし、
現代語訳
金銀の数が減ったために世の中が困窮するというのは、金銀を多く持っている者は身代が半分になるので、金を出して米を買うことができない。これによって米価が安くなるので、武家も百姓もみな身代が半分になって、世の中が困窮したのである。それなのに、この一年はこの上ない豊作なので米価がこの上なく安くなったのだ、と言う人があるが、それは世の中の全体を呑み込まない愚かな目の人の言うことである。もっとも豊作であれば米価が安くなるのはそのとおりで、そういう筋も少しは手伝ったであろうが、全体のところはそういうことではない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『驢鞍橋』卷上卯の夏夜話に曰く、我分別いつとなく失せ、慮知抔と云ふことなし。然る間云ひ損ひも有らんず事ぢやが、出次第に働きて、此年迄来れとも間に合はぬ事無し。総して若き時より無分別なる性也。然れども元より事の談合肝要の時に至ては、何たる分別者よりも我一言に究むる事多し。我もいな事に思ふ也。但しつゝきれて云ふ心か、夫れは元より中中强い位有り、事の談合に及んでは、聞くと早や胸すはつてつゝきれて云はるゝと也。
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『酔古堂剣掃』集醒・事に任ずる者は利害の慮を忘る事を議する者は身事の外に在り、宜しく利害の情を悉すべし。事に任ずる者は身事の中に居り、當に利害の慮を忘るべし。
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孫子・地形篇卒を視ること嬰児の如し、故に之と深谿に赴くべし。卒を視ること愛子の如し、故に之と俱に死すべし。厚くして使う能わず、愛して令する能わず、乱れて治むる能わざれば、譬えば驕子の若く、用うべからざるなり。
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『正法眼蔵随聞記』巻一亦云く、大衆不対の時、我れ南泉ならば、大衆既に道不得と云て、便ち猫児を放下してまじ、古人の云く、大用現前して軌則を存せずと、
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『囲炉夜話』第二百三則・必ず諸を心に問ふ言は盡くは信ず可からず、必ず諸を理に揆る。事は未だ遽かに行ふ可からず、必ず諸を心に問ふ。
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『酔古堂剣掃』集醒・多情の者は與に妍媸を定むべからず多情の者は、與に妍媸を定むべからず。多誼の者は、與に取與を定むべからず。多氣の者は、與に雌雄を定むべからず。多興の者は、與に去住を定むべからず。
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