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政談 / 諸色直段の事

されとも是等は末のことなり、末に取つきては仲々商人の智惠には及ひかたし、畢竟する所皆武家旅宿の境界より出たる惡弊なる故、其本に返りて武家の皆々土に有り付置て、初卷に記したる米をしむる一術を用ひは、商人の勢ひ忽に哀て物の直段は心の儘に成へし、然れは畢竟物の直段高きも旅宿と制度なきとの二つに歸することなり、

新字:されとも是等は末のことなり、末に取つきては仲々商人の智恵には及ひかたし、畢竟する所皆武家旅宿の境界より出たる悪弊なる故、其本に返りて武家の皆々土に有り付置て、初巻に記したる米をしむる一術を用ひは、商人の勢ひ忽に哀て物の直段は心の儘に成へし、然れは畢竟物の直段高きも旅宿と制度なきとの二つに帰することなり、

書き下し

されとも是等は末のことなり、末に取つきては仲々商人の智恵には及ひかたし、畢竟する所皆武家旅宿の境界より出たる悪弊なる故、其本に返りて武家の皆々土に有り付置て、初巻に記したる米をしむる一術を用ひは、商人の勢ひ忽に哀て物の直段は心の儘に成へし、然れは畢竟物の直段高きも旅宿と制度なきとの二つに帰することなり、

現代語訳

けれども、これらは末のことである。末に取りついては、なかなか商人の知恵には及びがたい。結局のところ、みな武家の旅宿の境遇から出た悪弊なので、その本に立ち返って、武家をみな土地に住みつかせ、初巻に記した米を締める一術を用いれば、商人の勢いはたちまち衰えて、物の値段は思いのままになるであろう。そうであれば、結局、物の値段が高いのも、旅宿と制度がないことの二つに帰するのである。

解説

商人の知恵に末端で張り合っても勝てない。だから本に返れ、と徂徠は結ぶ。武家を土地に住まわせて金で物を買う暮らしをやめさせ、初巻で述べた米の扱いの術を用いれば、商人の勢いは衰え物価は思いのままになる。物価高もまた「旅宿」と「制度なき」の二つに帰着するという総括である。個々の症状に対症療法で挑むより、症状を生む構造を変えるべきだという考え方は、現代の経営改革や政策立案でも繰り返し確かめられる原則である。

この章句が説くこと

旅宿制度物価根本土着商人

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