三十六計 / 第五套 並戰計・第廿八計・上屋抽梯
假之以便,唆之使前,斷其援應,陷之死地。遇毒,位不當也。 【按語】唆者,利使之也。利使之而不先為之便,或猶且不行。故抽梯之局,須先置梯,或示之梯。如:慕容垂、姚萇諸人慫秦苻堅侵晉,以乘機自起。
新字:仮之以便,唆之使前,断其援応,陥之死地。遇毒,位不当也。 【按語】唆者,利使之也。利使之而不先為之便,或猶且不行。故抽梯之局,須先置梯,或示之梯。如:慕容垂、姚萇諸人慫秦苻堅侵晋,以乗機自起。
書き下し
之に仮すに便を以てし、之を唆して前ましめ、其の援応を断ち、之を死地に陥る。毒に遇うは、位の当たらざればなり。 【按語】唆す者は、利して之を使うなり。利して之を使うに先ず之が便を為さざれば、或いは猶お且つ行かず。故に梯を抽くの局は、須く先ず梯を置き、或いは之に梯を示すべし。如えば、慕容垂・姚萇ら諸人、秦の苻堅を慫慂して晋を侵さしめ、以て機に乗じて自ら起こる。
現代語訳
相手に便宜を貸し与え、そそのかして前へ進ませ、その援軍や連絡を断って、死地に陥れる。毒に遭うのは、その位置が適切でないからである。 【按語】唆すとは、利益によって人を動かすことです。利益で動かすのに、まず相手に便宜を図らなければ、なお動かないことがあります。だから梯子を外す局面では、まず梯子を置いておくか、あるいは梯子を見せておかなければなりません。たとえば、慕容垂や姚萇らが、秦の苻堅をそそのかして晋を侵攻させ、その機に乗じて自ら立ち上がった例があります。
解説
屋根に上らせてから梯子を外す、という計です。按語は、相手を動かすには、まず上る梯子、つまり便宜や利益を用意するか示さなければならないと述べます。例は、苻堅を晋の征伐にそそのかして大敗させ、その隙に慕容垂や姚萇らが自立した事例です。仕事に置き換えると、相手に有利な条件や期待を見せて深入りさせ、後ろ盾を外す、といった局面になります。ただしこれを自分で行えば、約束を破り相手を陥れる行為になりますから、むしろ、うまい話を持ちかけられたときに、自分の退路や支援が保たれているかを確かめるための警句として読む方が実践的です。梯子が外されるかもしれないと考えることが、判断を堅くします。
この章句が説くこと
上屋抽梯梯子唆す援応死地苻堅
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