三十六計 / 第四套 混戰計・第廿四計・假道伐虢
兩大之間,敵脅以從,我假以勢。困,有言不信。 【按語】假地用兵之舉,非巧言可誑,必其勢不受一方之脅從,則將受雙方之夾擊。如此境況之際,敵必迫之以威,我則誑之以不害,利其幸存之心,速得全勢,彼將不能自陣,故不戰而滅之矣。如:晉侯假道於虞以伐虢,晉滅虢,虢公丑奔京師,師還,襲虞滅之。
新字:両大之間,敵脅以従,我仮以勢。困,有言不信。 【按語】仮地用兵之舉,非巧言可誑,必其勢不受一方之脅従,則将受双方之夾撃。如此境況之際,敵必迫之以威,我則誑之以不害,利其幸存之心,速得全勢,彼将不能自陣,故不戦而滅之矣。如:晋侯仮道於虞以伐虢,晋滅虢,虢公丑奔京師,師還,襲虞滅之。
書き下し
両大の間、敵は脅して以て従わしめ、我は仮るに勢いを以てす。困は、言有るも信ぜられず。 【按語】地を仮りて兵を用うるの挙は、巧言の誑すべきに非ず、必ず其の勢い一方の脅従を受けざれば、則ち将に双方の夾撃を受けんとす。此の如き境況の際は、敵必ず之に迫るに威を以てし、我は則ち之を誑くに害せざるを以てし、其の幸い存せんとするの心を利し、速やかに全き勢いを得れば、彼は自ら陣する能わず、故に戦わずして之を滅ぼすなり。如えば、晋侯道を虞に仮りて以て虢を伐つ、晋虢を滅ぼし、虢公丑京師に奔る、師還り、虞を襲いて之を滅ぼす。
現代語訳
二つの大国の間にあって、敵が脅して従わせようとするとき、こちらは相手に勢いを貸す形をとる。困の卦には、言葉があっても信じてもらえないとあります。 【按語】他国の土地を借りて兵を動かすという行いは、口先の巧みさで欺けるものではありません。その国が、どちらか一方の脅しに従わなければ、双方から挟み撃ちに遭う、という立場でなければなりません。このような状況では、敵は必ず威力で相手に迫りますから、こちらは害を加えないと偽って相手を安心させ、生き延びたいという相手の気持ちにつけ込みます。そうして素早く全体の形勢を握れば、相手は自ら陣を構えることもできず、戦わずして滅ぼせます。たとえば、晋侯は虞に道を借りて虢を討ち、晋が虢を滅ぼすと、虢公の丑は都へ逃れました。軍が帰還する途中で、虞を襲って滅ぼしました。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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戦国策・秦使趙攻魏秦趙をして魏を攻めしむ、魏趙王に謂いて曰く、「魏を攻むる者は、趙を亡ぼすの始めなり。昔者(むかし)、晋人虞を亡ぼさんと欲して虢(かく)を伐つ、虢を伐つ者は、虞を亡ぼすの始めなり。故に荀息馬と璧とを以て道を虞に仮(か)り、宮之奇諫めて聴かれず、卒(つい)に晋の道を仮る。晋人虢を伐ち、反りて虞を取る。故に春秋之を書し、以て虞公を罪す。今国趙より強きは莫く、而して齊・秦を并(あわ)せ、王賢にして声有る者之に相たり、腹心の疾(やまい)為る所以の者は、趙なり。魏は、趙の虢なり。趙は、魏の虞なり。秦に聴きて魏を攻むる者は、虞の為なり。願わくは王の之を熟計せんことを」と。
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『韓非子』十過第十輔は車に依り、車も亦た輔に依る、虞・虢の勢正に是れなり。若し之に道を仮さば、則ち虢朝に亡びて虞夕に之に従はん。不可なり、願はくは許す勿かれ」と。虞公聴かず、遂に之に道を仮す。荀息虢を伐ちて之に克ち、還り反りて処ること三年、兵を興して虞を伐ち、又之に克つ。荀息馬を牽き璧を操りて献公に報ず、献公説びて曰く、「璧は則ち猶ほ是くのごときなり。然りと雖も、馬歯も亦た益々長ぜり」と。故に虞公の兵殆ふくして地削らるる者は、何ぞや。
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呂氏春秋・權勳③昔者、晉の獻公、荀息をして道を虞に假らしめ、以て虢を伐たんとす。荀息曰く、「請う、垂棘の璧と屈産の乘とを以て、以て虞公に賂い、而して道を假ることを求めん。必ず得可からん。」獻公曰く、「夫れ垂棘の璧は、吾先君の寶なり。屈産の乘は、寡人の駿なり。若し吾が幣を受けて吾に道を假さずんば、將に奈何せんとする。」荀息曰く、「然らず。彼若し吾に道を假さずんば、必ず吾に受けざらん。若し我に受けて我に道を假さば、是れ猶ほ之を內府に取りて之を外府に藏むるがごとく、猶ほ之を內皁に取りて之を外皁に著ぐがごときなり。君奚ぞ患えん。」獻公、之を許す。乃ち荀息をして屈産の乘を以て庭實と為し、而も加うるに垂棘の璧を以てし、以て道を虞に假りて虢を伐たしめんとす。虞公、寶と馬とを濫りて之を許さんと欲す。宮之奇諫めて曰く、「許す可からざるなり。虞と虢とは、車の輔有るが若きなり。車は輔に依り、輔も亦た車に依る。虞と虢の勢は是れなり。先人に言える有り、曰く、『脣竭くれば齒寒し。』夫れ虢の亡びざるは、虞を恃めばなり、虞の亡びざるも、亦た虢を恃めばなり。若し之に道を假さば、則ち虢朝に亡びて虞夕べに之に從わん。奈何ぞ其れ之に道を假さんや。」虞公、聽かずして、之に道を假す。荀息、虢を伐ち、之に克つ。還反りて虞を伐ち、又之に克つ。荀息、璧を操り馬を牽きて報ず。獻公喜びて曰く、「璧は則ち猶ほ是れなり、馬の齒も亦た薄長じたり。」故に曰く、小利は、大利の殘なり、と。
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戦国策・秦假道於周以伐韓秦周に道を假りて以て韓を伐たんとす。周これを假さば韓に悪まれんことを恐れ、假さずんば秦に悪まれんことを恐る。史黶周君に謂ひて曰く、「君何ぞ人をして韓の公叔に謂はしめて曰かざる、『秦の敢へて塞を絶ちて韓を伐つは、東周を信ずればなり。公何ぞ周に地を与へ、重使を発してこれを楚に使ひせしめざる。秦必ず疑ひ、周を信ぜず、是れ韓伐たれざるなり』と。また秦王に謂ひて曰く、『韓強ひて周に地を与ふるは、将に以て周を秦に疑はしめんとするなり、寡人敢へて受けずんばあらず』と。秦必ず辞無くして周をして受けざらしめん。是れ地を韓に得て秦に聴かるるなり」と。
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『新序』善謀第九虞・虢は、皆な小國なり。虞に夏陽の阻塞有り。虞・虢共に之を守る。晉禽らうる能わざるなり。故に晉の獻公虞・虢を伐たんと欲す。荀息曰く、君胡ぞ屈産の乘と、垂棘の璧とを以て、道を虞に假らざる、と。公曰く、此れ晉國の寶なり。彼吾が璧を受けて、吾に道を借さずんば、則ち之を如何せん、と。荀息曰く、此れ小の大國に事うる所以なり。彼吾に道を借さずんば、必ず敢えて吾が幣を受けざらん。吾が幣を受けて吾に道を借さば、則ち是れ我之を中府に取りて、之を外府に置き、之を中廐に取りて之を外廐に置くなり、と。公曰く、宮之奇焉に存す。必ず受けしめざらん、と。荀息曰く、宮之奇の知は固より知なり。然りと雖も、其の人と爲りや、通心にして懦なり。又た少くして君に長ず。通心なれば則ち其の言や略なり。懦なれば則ち强く諫むる能わず。少くして君に長ずれば、則ち君之を輕んず。且つ夫れ玩好は耳目の前に在り、而して患いは一國の後に在り。中知以上にして、乃ち能く之を慮る。臣虞君を料るに中知の下なり、と。公遂に道を借りて虢を伐つ。
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国語・晋語二虢を伐つの役、師虞(ぐ)より出ず。宮之奇(きゅうしき)諫めて聴かれず。出でて、其の子に謂いて曰く、「虞将に亡びんとす。唯だ忠信なる者のみ能く外寇を留めて害せられず。闇(あん)を除きて以て外に応ずる、之を忠と謂う。身を定めて以て事を行う、之を信と謂う。今君其の悪む所を人に施す、闇除かれず。賄(まいない)を以て親を滅ぼす、身定まらず。夫れ国は忠に非ざれば立たず、信に非ざれば固からず。既に忠信ならずして、外寇を留む。寇其の釁(ひま)を知りて帰りて焉を図らん。已に自ら其の本を抜けり、何を以て能く久しからん。吾去らずんば、及ばんことを懼る」と。其の孥(ど)を以て西山に適く。三月にして、虞乃ち亡ぶ。
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