三十六計 / 第四套 混戰計・第廿二計・關門捉賊
小敵困之。剝,不利有攸往。 【按語】捉賊而必關門,非恐其逸也,恐其逸而為他人所得也;且逸者不可復追,恐其誘也。賊者,奇兵也,游兵也,所以勞我者也。吳子曰:「今使一死賊,伏於曠野,千人追之,莫不梟視狼顧。何者?恐其暴起而害己也。是以一人投命,足懼千夫。」追賊者,賊有脫逃之機,勢必死鬥;若斷其去路,則成擒矣。故小敵必困之,不能,則放之可也。
新字:小敵困之。剥,不利有攸往。 【按語】捉賊而必関門,非恐其逸也,恐其逸而為他人所得也;且逸者不可復追,恐其誘也。賊者,奇兵也,游兵也,所以労我者也。呉子曰:「今使一死賊,伏於曠野,千人追之,莫不梟視狼顧。何者?恐其暴起而害己也。是以一人投命,足懼千夫。」追賊者,賊有脱逃之機,勢必死鬥;若断其去路,則成擒矣。故小敵必困之,不能,則放之可也。
書き下し
小敵はこれを困らす。剥は、往く攸有るに利ろしからず。 【按語】賊を捉うるに必ず門を関すは、其の逸するを恐るるに非ず、其の逸して他人の得る所と為るを恐るるなり。且つ逸する者は復た追うべからず、其の誘うを恐るるなり。賊なる者は、奇兵なり、遊兵なり、我を労する所以の者なり。呉子曰く、「今一死賊をして、曠野に伏せしめ、千人之を追わば、梟視狼顧せざる莫し。何となれば、其の暴かに起こりて己を害するを恐るればなり。是を以て一人命を投ずれば、千夫を懼れしむるに足る」と。賊を追う者は、賊に脱逃の機有らば、勢い必ず死闘す。若し其の去路を断たば、則ち擒と成らん。故に小敵は必ず之を困らす、能わざれば、則ち之を放つも可なり。
現代語訳
小さな敵は、包囲して閉じ込める。剥の卦は、進んで行くのは利がないとします。 【按語】賊を捕らえるのに必ず門を閉めるのは、逃げるのを恐れるからではなく、逃げた賊が他の人の手に入ってしまうのを恐れるからです。さらに、逃げる者は追ってはならず、それは誘い出しかもしれないからです。賊とは、奇襲の兵であり、遊撃の兵であり、こちらを疲れさせるための者です。呉子は言います。「いま、一人の決死の賊が広い野に伏せていて、千人でこれを追うとしましょう。みなが梟のように目を光らせ、狼のように振り返らずにはいられません。なぜなら、その者が突然起きて自分を害することを恐れるからです。このように、一人が命を投げ出せば、千人を恐れさせるに足ります」と。賊を追う者は、賊に逃げ出す機会があれば、必ず死に物狂いで戦われます。しかし逃げ道を断てば、捕らえられるのです。だから小さな敵は必ず閉じ込めるのがよく、それができないなら、放っておいてもかまいません。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
三十六計・第三套 攻戰計・第十六計・欲擒故縱逼れば則ち兵を反し、走れば則ち勢を減ず。緊く隨ひて迫る勿かれ。其の氣力を累(つか)れしめ、其の鬪志を消し、散じて後に擒へれば、兵、血に刃せず。需は孚有りて光(おほ)いなり。 【按語】所謂縱著は、之を放つに非ざるなり、隨ひて、稍や之を鬆(ゆる)むるのみ。「窮寇は追ふ勿かれ」とは、亦た即ち此の意なり。蓋し追はざる者は、隨はざるに非ず、之に迫らざるのみ。武侯の七縱七擒は、即ち縱ちて之に隨ふ、故に輾轉として推進し、不毛の地に至る。武侯の七縱は、其の意、地を拓くに在り、孟獲を借りて以て諸蠻を服せしむるに在りて、兵法に非ざるなり。故に戰を論ずれば、則ち擒へたる者は復た縱つべからず。
-
三十六計・第六套 敗戰計・第卅六計・走為上策全師して敵を避く。左に次ぐは咎無し、未だ常を失わざるなり。 【按語】敵の勢い全勝にして、我戦う能わざれば、則ち必ず降るか、必ず和するか、必ず走る。降れば則ち全敗、和すれば則ち半敗、走れば則ち未だ敗れず。未だ敗れざる者は、勝ちの転機なり。如えば、宋の畢再遇は金人と塁を対し、金兵の至る者日ごとに衆く、与に鋒を争い難きを度る。一夕営を抜きて去り、旗幟を営に留め、生羊を縛りて之を懸け、其の前の二足を鼓の上に置く、羊は懸けるに堪えず、則ち足は鼓を撃ちて声有り。金人は覚えず空営と為すを、相持すること数日、乃ち覚り、之を追わんと欲するも、則ち已に遠し。善く走る者と謂うべし。
-
三十六計・第三套 攻戰計・第十八計・擒賊擒王其の堅を摧き、其の魁を奪ひ、以て其の體を解く。龍、野に戰ふ、其の道窮まるなり。 【按語】攻めて勝てば、則ち利は取るに勝へず。小を取りて大を遺せば、卒の利、將の累、帥の害、攻の虧なり。勝を舍てて堅を摧き王を擒へざるは、是れ虎を縱ちて山に歸すなり。王を擒ふるの法は、旌旗を圖辨すべからずして、當に其の陣中の首の動くを察すべし。昔、張巡、尹子奇と戰ふ。直ちに敵營に衝き、子奇の麾下に至る。營中大いに亂れ、賊將五十餘人を斬り、士卒五千餘人を殺す。迎へて子奇を射んと欲すれども識らず。蒿を剡りて矢と爲す。中る者喜びて巡の矢盡きたりと謂ひ、走りて子奇に白す。乃ち其の狀を得、霽雲をして之を射しむ。其の左目に中り、幾んど之を獲んとす。子奇乃ち軍を收めて退き還る。
-
孫子・謀攻篇故に小敵の堅なるは、大敵の擒なり。
-
三十六計・第一套 勝戰計・第二計・圍魏救趙敵を共にするは敵を分かつに如かず、敵陽は敵陰に如かず。 【按語】兵を治むること水を治むるが如し。銳き者は其の鋒を避くること、導き疏するが如し。弱き者は其の虚を塞ぐこと、堰を築くが如し。故に齊の趙を救ふに當たりて、孫子田忌に謂ひて曰く、「夫れ雜亂糾紛を解く者は拳を控かず、鬪を救ふ者は搏撃せず、亢を批ち虚を搗き、形格勢禁すれば、則ち自ら解けんのみ」と。
-
呉子・応変篇武侯問いて曰く、敵近くして我に薄り、去らんと欲するも路無く、我が衆甚だ懼る、之を奈何せん、と。対えて曰く、此を為すの術は、若し我衆く彼寡なくば、各々分ちて之に乗ぜよ。彼衆く我寡なくば、方を以て之に従え。之に従いて息むこと無くば、衆しと雖も服すべし、と。
人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る