三十六計 / 第一套 勝戰計・第五計・趁火打劫
敵之害大,就勢取利,剛決柔也。 【按語】敵害在內,則劫其地;敵害在外,則劫其民;內外交害,則劫其國。如:越王乘吳國內蟹稻不遺種而謀攻之,後卒乘吳北會諸侯於黃池之際,國內空虛,因而搗之,大獲全勝。
新字:敵之害大,就勢取利,剛決柔也。 【按語】敵害在内,則劫其地;敵害在外,則劫其民;内外交害,則劫其国。如:越王乗呉国内蟹稲不遺種而謀攻之,後卒乗呉北会諸侯於黄池之際,国内空虚,因而搗之,大獲全勝。
書き下し
敵の害大なれば、勢に就きて利を取る。剛、柔を決するなり。 【按語】敵の害内に在れば、則ち其の地を劫す。敵の害外に在れば、則ち其の民を劫す。内外交ごも害あれば、則ち其の國を劫す。如へば、越王は吳國内に蟹稻種を遺さざるに乘じて之を攻めんことを謀り、後に卒に吳の北のかた諸侯に黄池に會するの際、國内空虚なるに乘じ、因りて之を搗き、大いに全勝を獲たり。
現代語訳
敵に大きな災いが生じたとき、その勢いに乗じて利益を取る。これは剛(強い者)が柔(弱った者)を押し切る形である。 【按語】敵の災いが国内にあるなら、その土地を奪います。災いが国外にあるなら、その民を奪います。国内と国外の両方に災いがあるなら、その国そのものを奪います。たとえば越王は、呉の国内で蟹や稲が種も残らないほど被害を受けたことに乗じて攻めようと謀り、のちに呉が北上して諸侯と黄池で会盟した際、国内が空になっているのに乗じてこれを衝き、大勝利を収めました。
解説
第五計「趁火打劫」は、相手が災難に見舞われたときにその隙を突いて利益を取る計です。按語は、災いが内にあれば土地、外にあれば民、内外ともなら国を奪うと整理し、越王が呉の飢饉と黄池の会盟による留守を突いた例を挙げます。厳しい策ですが、仕事の場面に置き換えれば、競合が不祥事や供給難で顧客に迷惑をかけたとき、備えのある側が受け皿になる、といった形で読めます。ただ、他人の苦境に乗じるだけでは信頼を損なう場合もあり、誠実な支援として行うか、取りに行かない選択もあるという点に注意が要ります。
この章句が説くこと
趁火打劫勢越王呉黄池空虚
関連する章句
-
孫子・勢篇故に戦いを善くする者の勢は、円石を千仞の山より転ずるが如きなり。
-
『韓非子』難勢第四十夫れ良馬固車も、臧獲をして之を御せしむれば則ち人の笑ひと為り、玉良之を御すれば而ち日に千里を取る。車馬異なるに非ざるなり、或いは千里に至り、或いは人の笑ひと為る、則ち巧拙相去ること遠し。
-
孫子・勢篇故に善く戦う者は、之を勢に求めて人に責めず。故に能く人を択びて勢に任ず。
-
『韓非子』外儲説右上第三十四故に市の木の価は、山より貴きを加へず。沢の魚塩亀鼈蠃𧉻は、海より貴からず。君は重く斂めて、田成氏は厚く施す。斉嘗て大いに饑ゑ、道旁に餓死する者勝げて数ふ可からざるなり、父子相牽きて田成氏に趨く者は生きざるを聞かず。故に秦周の民相与に之を歌ひて曰く、『謳はんか、其れ已まんか。苞はんか、其れ往きて田成子に帰せんか』と。『詩』に曰く、『女に与ふる徳無しと雖も、式て歌ひ且つ舞はん』と。今田成氏の徳ありて民之に歌舞す、民の徳之に帰す。故に曰く、『其れ田成氏か』と」と。公泫然として涕を出して曰く、「亦悲しからずや。寡人国を有ちて田成氏之を有たんとす。今之を為すこと奈何」と。晏子対へて曰く、「君何ぞ患へん。若し君之を奪はんと欲せば、則ち賢に近づきて不肖を遠ざけ、其の煩乱を治め、其の刑罰を緩め、貧窮を振ひて孤寡を恤み、恩恵を行ひて不足に給せば、民将に君に帰せんとす、則ち十田成氏有りと雖も、其れ君を如何せん」と。或ひと曰く、景公は勢を用ふることを知らず、而して師曠・晏子は患を除くことを知らず。夫れ猟する者は、車輿の安きに託し、六馬の足を用ひ、王良をして轡を佐けしむれば、則ち身労せずして軽獣に及び易し。今車輿の利を釈て、六馬の足と王良の御とを捐てて、下りて走りて獣を逐はば、則ち楼季の足と雖も時として獣に及ぶ無し。良馬固車に託すれば、則ち臧獲も余り有り。国なる者は、君の車なり。勢なる者は、君の馬なり。夫れ勢に処りて以て擅愛の臣を禁誅せずして、必ず徳厚くして以て天下と行を斉しくして以て民を争ふは、是れ皆君の車に乗らず、馬の利に因らず、車を舍てて下り走る者なり。故に曰く、景公は勢を用ふることを知らざるの主なり、而して師曠・晏子は患を除くことを知らざるの臣なり、と。子夏曰く、「『春秋』の臣の君を殺し、子の父を殺すを記するは、十を以て数ふ。皆一日の積に非ず、漸有りて以て至るなり」と。
-
『韓非子』喻老第二十一孫叔敖の謂なり。制己に在るを重と曰ひ、位を離れざるを静と曰ふ。重なれば則ち能く軽を使ひ、静なれば則ち能く躁を使ふ。故に曰く、「重は軽の根為り、静は躁の君為り」と。故に曰く、「君子は終日行きて、輜重を離れず」と。邦は人君の輜重なり。主父、生きながら其の邦を伝ふ、此れ其の輜重を離るる者なり。故に代・雲中の楽有りと雖も、超然として已に趙無し。主父は万乗の主にして、身を以て天下に軽んぜらる。
-
『韓非子』難勢第四十且つ御は、王良をしてせしむるに非ざれば、則ち必ず臧獲をして之を敗らしむ。治は、堯・舜をしてせしむるに非ざれば、則ち必ず桀・紂をして之を乱さしむ。此れ味は飴蜜に非ざれば、必ず苦萊・亭歴なりとするなり。此れ則ち辯を積み辞を累ね、理を離れ術を失ふ、両末の議なり、奚ぞ以て夫の道理の言を難ずべけんや。客の議は未だ此の論に及ばざるなり。
人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る