孫子 / 勢篇
故善戰者,求之於勢,不責於人,故能擇人而任勢。
新字:故善戦者,求之於勢,不責於人,故能択人而任勢。
書き下し
故に善く戦う者は、之を勢に求めて人に責めず。故に能く人を択びて勢に任ず。
現代語訳
そこで戦上手は、勝ちを勢いに求めて個人を責めない。だからこそ人を選んで、勢いに乗せることができる。
解説
責任の所在をどこに置くかについての、極めて実務的な主張である。うまくいかないとき、勢に求めるか人に責めるか。孫子は前者を選ぶ。個人の頑張りではなく、状況そのものを作り替えることで勝つ、という立場だ。後半の一句が効いている。だからこそ人を選んで勢いに乗せられる、と。人を責めない態度と、人を選ぶ行為が両立している。ここが誤解されやすいところだろう。責めないとは、誰がやっても同じという意味ではない。適した人を適した流れに置くことに集中する、という意味である。組織運営でも、成果が出ないときに担当者を責めるのは簡単だが、それでは次も同じことが起きる。仕組みと流れを変え、そのうえで人を配置し直す。順序が逆になっている組織は、人が疲弊するだけで結果が変わらない。
この章句が説くこと
勢責任体制状況配置仕組み