留魂録 / 第十条
一、堀江常ニ神道ヲ崇メ、 天皇ヲ尊ヒ、大道ヲ天下ニ明白ニシ、異端邪說ヲ排セント欲ス、謂ラク天朝ヨリ教書ヲ開板シテ天下ニ頒示スルニ如カズト、余謂ラク教書ヲ開板スルニ一策ナカルヘカラズ、京師ニ於テ大學校ヲ興シ、上天朝ノ御学風ヲ天下ニ示シ、又天下ノ奇材異能ヲ京師ニ貢シ、然ル後天下古今ノ正論確議ヲ輯集シテ書トナシ、天朝御教習ノ餘ヲ天下ニ分ツ時ハ天下ノ人心自ラ一定スヘシト、
新字:一、堀江常ニ神道ヲ崇メ、 天皇ヲ尊ヒ、大道ヲ天下ニ明白ニシ、異端邪説ヲ排セント欲ス、謂ラク天朝ヨリ教書ヲ開板シテ天下ニ頒示スルニ如カズト、余謂ラク教書ヲ開板スルニ一策ナカルヘカラズ、京師ニ於テ大学校ヲ興シ、上天朝ノ御学風ヲ天下ニ示シ、又天下ノ奇材異能ヲ京師ニ貢シ、然ル後天下古今ノ正論確議ヲ輯集シテ書トナシ、天朝御教習ノ余ヲ天下ニ分ツ時ハ天下ノ人心自ラ一定スヘシト、
書き下し
一、堀江常に神道を崇め、天皇を尊び、大道を天下に明白にし、異端邪説を排せんと欲す。謂へらく、天朝より教書を開板して天下に頒示するに如かずと。余謂へらく、教書を開板するに一策なかるべからず。京師に於て大学校を興し、上天朝の御学風を天下に示し、又天下の奇材異能を京師に貢し、然る後天下古今の正論確議を輯集して書となし、天朝御教習の余を天下に分つ時は、天下の人心自ら一定すべしと。
現代語訳
堀江はつねに神道を崇め、天皇を尊び、大いなる道を天下に明らかにして、異端邪説を退けたいと願っている。彼は、朝廷から教えの書を出版して天下に配るのが一番よいと言う。私はこう考えた。教えの書を出版するには、一つの策がなければならない。京都に大学校を興して、上は朝廷の学問の気風を天下に示し、また天下の優れた才能を京都に集め、そのうえで天下古今の正しい論やしっかりした議論を集めて書物とし、朝廷で教え習ったものの余りを天下に分け与えるならば、天下の人心はおのずから一つに定まるだろう、と。
解説
この章句が説くこと
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