論衡 / 『論衡』自紀篇第八十五・実を養う者は飾らない
夫養實者不育華、調行者不飾辭。豐草多華英、茂林多枯枝。為文欲顯白其為、安能令文而無譴毀?救火拯溺、義不得好;辯論是非、言不得巧。
新字:夫養実者不育華、調行者不飾辞。豊草多華英、茂林多枯枝。為文欲顕白其為、安能令文而無譴毀?救火拯溺、義不得好;弁論是非、言不得巧。
書き下し
夫れ実を養う者は華を育てず、行を調うる者は辞を飾らず。豊草には華英多く、茂林には枯枝多し。文を為して其の為す所を顕白にせんと欲せば、安んぞ文をして譴毀無からしめんや。火を救い溺れを拯うには、義、好きを得ず。是非を弁論するには、言、巧みなるを得ず。
現代語訳
実を養う者は花を育てず、行いを整える者は言葉を飾りません。草が生い茂れば花が多く、林が茂れば枯れ枝も多いものです。文章を書いて自分の言いたいことをはっきり示そうとするのに、どうして非難されない文章にできるでしょうか。火事を消し溺れる者を救うときは、見栄えよくやっている場合ではありません。是非を論じるときも、言葉を巧みにしている場合ではないのです。
解説
自紀篇は、文章が粗い、飾りが足りないという批判に王充が答える箇所です。実を育てる者は花を愛でず、火を消し溺れる人を救う場面では格好など構っていられないと、実質優先を貫きます。成立当時の文章観とはいえ、現代の資料づくりにも通じます。見栄えを整えるために時間を使い、肝心の中身が薄くなっていないでしょうか。緊急時や論点が重いほど、きれいさより伝わる内容が先です。ただ読み手への配慮まで不要という意味ではなく、優先順位の問題として受け取れます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
実華飾り文章是非優先順位
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