武人訓抄録 / 知るべきと知らぬでよい事
一神武講習の道かならず不知ば有べからざる者あり、かならず不知ところの者あり、脩己治人の道、攻鋭守難の術は、かならず不知ば有べからざるものなり、其餘進で賊を討ずるに益なく、退て民を保ずるに利なきものは、かならず不知といへども又さらに害なし、をよそ時日方位器用故實の類は、職者の事業にして武將の先務にはあらず、曾子曰、籩豆之事則有司存と、神武の指も亦しかり、技用之事則職者在、總て藝士職者の關る事をば、皆其道の明達に附して學者奪ふべからず、今の小子習學の法を知らず、區々として心を衆技の細事に止む、大に不可なり、學者諒察せよ、
新字:一神武講習の道かならず不知ば有べからざる者あり、かならず不知ところの者あり、脩己治人の道、攻鋭守難の術は、かならず不知ば有べからざるものなり、其余進で賊を討ずるに益なく、退て民を保ずるに利なきものは、かならず不知といへども又さらに害なし、をよそ時日方位器用故実の類は、職者の事業にして武将の先務にはあらず、曽子曰、籩豆之事則有司存と、神武の指も亦しかり、技用之事則職者在、総て芸士職者の関る事をば、皆其道の明達に附して学者奪ふべからず、今の小子習学の法を知らず、区々として心を衆技の細事に止む、大に不可なり、学者諒察せよ、
書き下し
一神武講習の道かならず不知ば有べからざる者あり、かならず不知ところの者あり、脩己治人の道、攻鋭守難の術は、かならず不知ば有べからざるものなり、其餘進で賊を討ずるに益なく、退て民を保ずるに利なきものは、かならず不知といへども又さらに害なし、をよそ時日方位器用故實の類は、職者の事業にして武將の先務にはあらず、曾子曰、籩豆之事則有司存と、神武の指も亦しかり、技用之事則職者在、總て藝士職者の關る事をば、皆其道の明達に附して學者奪ふべからず、今の小子習學の法を知らず、區々として心を衆技の細事に止む、大に不可なり、學者諒察せよ、
現代語訳
神武を講じ習う道には、必ず知らなければならないものと、必ず知らなくてよいものがあります。己を修め人を治める道、攻めを鋭くし守りを難くする術は、必ず知らなければならないものです。それ以外の、進んで賊を討つのに益がなく、退いて民を守るのに利がないものは、知らなくてもまったく害はありません。おおよそ時日・方位・器用・故実の類は、職人の事業であって、武将の先に務めることではありません。曾子は「籩豆の事は有司が存する」と言いました。神武の趣旨も同様です。技用の事は職の者がいる。すべて芸士や職者に関わることは、その道に明るい者に任せ、学者が奪ってはなりません。今の小子は習学の法を知らず、細かな衆技の些事に心を留めています。大いにいけないことです。学者はよく察しなさい。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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言志四録・言志録 第二百二十九条 先務を急にし賢を親しむ孟子は、先務を急にし、賢を親しむを急にするを以て、堯舜の仁智と為す。試みに二典を検するに、並びに皆前半截は是れ先務を急にし、後半截は是れ賢を親しむを急にす。
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論語・顔淵篇子貢、政を問う。子曰く、「食を足し、兵を足し、民之を信ず。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何をか先にせん。」曰く、「兵を去らん。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん。」曰く、「食を去らん。古より皆死有り、民信無くんば立たず。」
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論語・郷党篇廄焚けたり。子、朝より退きて曰く、「人を傷つけたるか。」馬を問わず。
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『韓非子』功名第二十八人臣の憂は一を得ざるに在り、故に曰く、「右手圓を書き、左手方を書けば、兩つながら成る能わず。」
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