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論語 / 郷党篇

廄焚,子退朝,曰:「傷人乎?」不問馬。

書き下し

廄焚けたり。子、朝より退きて曰く、「人を傷つけたるか。」馬を問わず。

現代語訳

馬小屋が焼けた。先生は朝廷から退出してこられると、おっしゃった。「人にけがはなかったか。」馬のことはお尋ねにならなかった。

解説

短い記録だが、論語の中でも特に鋭い一章である。当時の馬は高価な財産であり、厩が焼けたと聞けば、まず馬の被害を尋ねるのが普通だった。孔子は人だけを尋ね、馬を尋ねなかった。損失の大小ではなく、何を先に問うかで価値観が現れている。しかも記録者は「不問馬」と書き添えた。尋ねなかったという不作為をわざわざ記したところに、当時の常識との落差が表れている。事故や失敗の報告を受けたときの第一声は、組織に対する最も強いメッセージになる。損害額を先に聞く上司と、怪我人を先に聞く上司では、次に報告が上がってくる速さが変わる。第一声は準備できない。だからこそ、その人が普段何を重く見ているかが、そのまま出る。

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全章の原文・書き下し・現代語訳を篇の順に並べた印刷用PDF(A4・約130頁)。よく引かれる名言43句には★と一覧表付き。480円。

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