古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

論衡 / 『論衡』定賢篇第八十・賢さは口でなく心に宿る

故治不謀功、要所用者是;行不責效、期所為者正。正是審明、則言不須繁、事不須多。故曰:「言不務多、務審所謂。行不務遠、務審所由。」言得道理之心、口雖訥不辯、辯在胸臆之內矣。故人欲心辯、不欲口辯。心辯則言醜而不違、口辨則辭好而無成。

新字:故治不謀功、要所用者是;行不責効、期所為者正。正是審明、則言不須繁、事不須多。故曰:「言不務多、務審所謂。行不務遠、務審所由。」言得道理之心、口雖訥不弁、弁在胸臆之内矣。故人欲心弁、不欲口弁。心弁則言醜而不違、口弁則辞好而無成。

書き下し

故に治は功を謀らず、用うる所の是なるを要す。行は効を責めず、為す所の正しきを期す。正しく是なること審らかに明らかなれば、則ち言は繁きを須いず、事は多きを須いず。故に曰く、「言は多きを務めず、謂う所を審らかにするを務む。行は遠きを務めず、由る所を審らかにするを務む」と。言、道理の心を得れば、口は訥にして辯ならずと雖も、辯は胸臆の内に在り。故に人は心の辯を欲し、口の辯を欲せず。心辯なれば則ち言醜くして違わず、口辨なれば則ち辞好くして成ること無し。

現代語訳

ですから政治は功績を狙って行うものではなく、用いるところが正しいことが大切です。行いは効果を求めるのではなく、していることが正しいことを期します。正しさがはっきりしているなら、言葉は多くいらず、事も多くいりません。そこで『言葉は多いことを目指さず、言うところを明らかにすることを目指す。行いは遠くへ行くことを目指さず、よって立つところを明らかにすることを目指す』と言うのです。言葉が道理にかなった心から出ているなら、口は不器用で弁が立たなくても、弁舌の力は胸の内にあります。ですから人は心の弁をこそ求め、口の弁を求めてはなりません。心が弁じていれば、言葉は飾らなくても道に外れず、口だけが弁じていれば、言葉は美しくても何も成りません。

解説

賢者を見分ける手だてとして、王充は最後に言葉を挙げます。ただし弁舌の巧みさではなく、善い心から出た言葉かどうかを見よと言います。功績や効果を第一に置かず、行いが正しいか、拠って立つ根拠が明らかかを重んじる立場です。ここは、成果主義への牽制として読むこともできます。会議で話が上手な人が評価されやすい職場でも、言葉の少ない人の筋の通った判断が組織を支えていることは少なくありません。話し方ではなく、考えの質と根拠を見る習慣が必要です。
『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る

この章句が説くこと

心弁口弁道理言行正しさ成果主義

関連する章句

本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円本を見る