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論衡 / 『論衡』知實篇第七十九・聖人も凡人と同じ目と耳

孔子見竅睹微、思慮洞達、材智兼倍、強力不倦、超逾倫等耳!目非有達視之明、知人所不知之狀也。 使聖人達視遠見、洞聽潛聞、與天地談、與鬼神言、知天上地下之事、乃可謂神而先知、與人卓異。今耳目聞見、與人無別、遭事睹物、與人無異、差賢一等爾、何以謂神而卓絕?

新字:孔子見竅睹微、思慮洞達、材智兼倍、強力不倦、超逾倫等耳!目非有達視之明、知人所不知之状也。 使聖人達視遠見、洞聴潜聞、与天地談、与鬼神言、知天上地下之事、乃可謂神而先知、与人卓異。今耳目聞見、与人無別、遭事睹物、与人無異、差賢一等爾、何以謂神而卓絶?

書き下し

孔子は竅を見微を睹、思慮洞達し、材智は兼倍し、強力倦まず、倫等を超逾せるのみ。目に達視の明有るに非ずして、人の知らざる所の状を知る。もし聖人をして達視遠見し、洞聴潜聞し、天地と談じ、鬼神と言い、天上地下の事を知らしむれば、乃ち神にして先知なりと謂うべく、人と卓異なり。今、耳目の聞見は、人と別無く、事に遭い物を睹るも、人と異なること無く、差や賢なること一等なるのみ。何を以て神にして卓絶なりと謂わんや。

現代語訳

孔子は、わずかな兆しを見抜き、細かなことを見分け、思慮が深く行き届き、才知は人の倍もあり、力を尽くして倦まず、並みの人を超えていたにすぎません。目に遠くを見通す力があって、人の知らないことを知ったわけではないのです。もし聖人が遠くを見通し、隠れた音まで聞き取り、天地と語り鬼神と言葉を交わして、天上や地下の事まで知るというなら、神のごとく先を知る者と言えて、人とは際立って異なるでしょう。しかし今の耳目の聞き見る力は人と変わらず、事に遭い物を見るのも人と違いません。少しばかり賢いだけの一段上の人です。どうして神のように卓絶していると言えるでしょうか。

解説

孔子ら聖人は未来まで見通していたと信じられていました。王充はこれを否定し、聖人は並外れた観察力と思慮、努力の人であって、特別な目や耳を持つわけではないと言います。『論衡』の知実篇では、孔子にも知らなかった事例を十数も挙げて、この主張を支えています。経営の現場でも、見通しの利く人は魔法を使っているのではありません。小さな兆しを拾い、似た事例から先を読み、疲れず考え続けているのです。能力を神格化せず、真似できる行動に分解して見る。そこに人材育成の糸口があります。
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