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論衡 / 『論衡』實知篇第七十八・知り得ることと学問の線引き

故夫可知之事者、思慮所能見也;不可知之事、不學不問不能知也。不學自知、不問自曉、古今行事、未之有也。夫可知之事、惟精思之、雖大無難;不可知之事、歷心學問、雖小無易。故智能之士、不學不成、不問不知。

新字:故夫可知之事者、思慮所能見也;不可知之事、不学不問不能知也。不学自知、不問自暁、古今行事、未之有也。夫可知之事、惟精思之、雖大無難;不可知之事、歴心学問、雖小無易。故智能之士、不学不成、不問不知。

書き下し

故に夫れ知るべきの事は、思慮の能く見る所なり。知るべからざるの事は、学ばず問わざれば知ること能わざるなり。学ばずして自ら知り、問わずして自ら暁るは、古今の行事に、未だ之れ有らざるなり。夫れ知るべきの事は、惟だ精しく之を思えば、大なりと雖も難きこと無し。知るべからざるの事は、心を歴して学問すれども、小なりと雖も易きこと無し。故に智能の士は、学ばざれば成らず、問わざれば知らず。

現代語訳

ですから、知ることのできる事柄は、考えをめぐらせれば見えてくるものです。知ることのできない事柄は、学ばず尋ねなければ分かりません。学ばずに自然に知り、尋ねずにひとりでに悟るということは、昔から今まで、実際にあった例がありません。知ることのできる事柄は、じっくり考えさえすれば、大きなことでも難しくありません。知ることのできない事柄は、心を尽くして学び尋ねても、小さなことでも易しくはありません。ですから知恵と才能のある人でも、学ばなければ成就せず、尋ねなければ知ることができないのです。

解説

王充は、聖人は何でも先に知るという儒者の通説を否定する流れで、知ることの限界を二つに分けます。考えれば分かることと、人に聞き学ばなければ分からないことです。『論衡』は後漢の王充が、神秘化された常識を実証の目で見直した書で、ここでは聖人であっても学ばずに知ることはないと断じています。職場に置き換えると、現場を知らない勘に頼った判断は、才能の問題ではなく手順の問題だということです。考えて足りる問いか、聞かなければ分からない問いかを見分けること。それが判断の出発点になります。
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この章句が説くこと

学問思慮聖人可知不可知問う

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