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益軒家訓 / 幼児須教

一學問の大綱は、大學の經の文、朱子の學規を以て法則とす。必天地聖人の道に背きて、佛氏の敎に從ふべからず。若佛氏に從ふ者あらば、父祖の遺訓に背き、不孝の罪に陷るのみならず、天地神明の道に背く。故に天地神明の罪人なるべし。天道は至公にして、其咎なしといへども、恐るべき事なり。但不仁は天の責を身にうけ、子孫に報ふ事影響の如し、畏るべき事の甚しきなり。

新字:一学問の大綱は、大学の経の文、朱子の学規を以て法則とす。必天地聖人の道に背きて、仏氏の教に従ふべからず。若仏氏に従ふ者あらば、父祖の遺訓に背き、不孝の罪に陥るのみならず、天地神明の道に背く。故に天地神明の罪人なるべし。天道は至公にして、其咎なしといへども、恐るべき事なり。但不仁は天の責を身にうけ、子孫に報ふ事影響の如し、畏るべき事の甚しきなり。

書き下し

一学問の大綱は、大学の経の文、朱子の学規を以て法則とす。必天地聖人の道に背きて、仏氏の教に従ふべからず。若仏氏に従ふ者あらば、父祖の遺訓に背き、不孝の罪に陥るのみならず、天地神明の道に背く。故に天地神明の罪人なるべし。天道は至公にして、其咎なしといへども、恐るべき事なり。但不仁は天の責を身にうけ、子孫に報ふ事影響の如し、畏るべき事の甚しきなり。

現代語訳

学問の大綱は、大学の経の文と、朱子の学規を法則とします。決して天地や聖人の道に背いて、仏教の教えに従ってはなりません。もし仏教に従う者があれば、父祖の遺訓に背き、不孝の罪に陥るだけでなく、天地神明の道に背きます。ですから天地神明の罪人となるでしょう。天の道はこのうえなく公平で、目に見えるとがめがないとはいっても、恐れるべきことです。ただ不仁であれば、天の責めを身に受け、その報いが子孫に及ぶことは、影が形に従い響きが声に応じるようにたしかで、はなはだ恐るべきことです。

解説

学問の指針を大学の経の部分と朱子の学規(白鹿洞書院掲示)に定め、子孫に仏教に従うことを禁じています。朱子学者として排仏の立場を明確にした一条で、当時の儒者に多い考え方でした。今の感覚からは狭く見えますが、家の中で学ぶべき筋道を一本に定めて迷わせない、という家訓としての意図があります。不仁の報いが子孫に及ぶという考えは、易経坤卦の文言伝「積善の家には必ず余慶あり」にも通じます。自分の行いが次の世代に影響するという自覚は、今も大切にしたい視点です。

この章句が説くこと

学問大学朱子天道仁

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