論衡 / 『論衡』言毒篇第六十六・快いものほど毒になる
美酒為毒、酒難多飲;蜂液為蜜、蜜難益食。勇夫強國、勇夫難近。好女說(一作悅。)心、好女難畜。辯士快意、辯士難信。故美味腐腹、好色惑心、勇夫招禍、辯口致殃。四者、世之毒也。辯口之毒、為害尤酷。何以明之?孔子見陽虎卻行、白汗交流。陽虎辯、有口舌。口舌之毒、中亂、況一人乎!故君子不畏虎、獨畏讒夫之口。
新字:美酒為毒、酒難多飲;蜂液為蜜、蜜難益食。勇夫強国、勇夫難近。好女説(一作悦。)心、好女難畜。弁士快意、弁士難信。故美味腐腹、好色惑心、勇夫招禍、弁口致殃。四者、世之毒也。弁口之毒、為害尤酷。何以明之?孔子見陽虎却行、白汗交流。陽虎弁、有口舌。口舌之毒、中乱、況一人乎!故君子不畏虎、独畏讒夫之口。
書き下し
美酒は毒たり、酒は多く飲み難し。蜂液は蜜たり、蜜は益ます食し難し。勇夫は国を強くするも、勇夫は近づけ難し。好女は心を悦ばしむるも、好女は畜い難し。辯士は意を快くするも、辯士は信じ難し。故に美味は腹を腐らせ、好色は心を惑わし、勇夫は禍を招き、辯口は殃いを致す。四つの者は、世の毒なり。辯口の毒は、害を為すこと尤も酷し。何を以て之を明らかにせん。孔子、陽虎を見て却行し、白汗交ごも流る。陽虎は辯にして、口舌有り。口舌の毒は、乱に中たる、況んや一人をや。故に君子は虎を畏れず、独り讒夫の口を畏る。
現代語訳
美酒は毒になります。酒は多くは飲めません。蜂の蜜は甘いものですが、増やして食べ続けることはできません。勇猛な男は国を強くしますが、近づけにくいものです。美しい女は心を喜ばせますが、養いにくいものです。弁の立つ人は気持ちを晴らしてくれますが、信じにくいものです。だから美味は腹を傷め、色事は心を惑わし、勇猛な者は災いを招き、巧みな口は災難をもたらします。この四つは、世の毒です。なかでも口達者の毒は、害がもっとも厳しいものです。どうして分かるのか。孔子は陽虎に会うと後ずさりし、冷や汗を流しました。陽虎は弁が立ち、口舌があったからです。口舌の毒は世の乱れにも及ぶのですから、一人を害するのは言うまでもありません。だから君子は虎を恐れず、ただ人を陥れる者の口だけを恐れるのです。
解説

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