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論衡 / 『論衡』紀妖篇第六十四・解釈ひとつで士気が変わる

晉公子重耳失國、乏食於道、從耕者乞飯、耕者奉塊土以賜公子。公子怒、咎犯曰:「此吉祥、天賜土地也。」其後公子得國復土、如咎犯之言。齊田單保即墨之城、欲詐燕軍、云天神下助我。有一人前曰:「我可以為神乎?」田單卻走、再拜事之、竟以神下之言聞於燕軍。燕軍信其有神、又見牛若五采之文、遂信畏懼、軍破兵北。田單卒勝、復獲侵地。此人象鬼之妖也。

新字:晋公子重耳失国、乏食於道、従耕者乞飯、耕者奉塊土以賜公子。公子怒、咎犯曰:「此吉祥、天賜土地也。」其後公子得国復土、如咎犯之言。斉田単保即墨之城、欲詐燕軍、云天神下助我。有一人前曰:「我可以為神乎?」田単却走、再拝事之、竟以神下之言聞於燕軍。燕軍信其有神、又見牛若五采之文、遂信畏懼、軍破兵北。田単卒勝、復獲侵地。此人象鬼之妖也。

書き下し

晋の公子重耳、国を失い、道に食に乏しく、耕す者に従いて飯を乞う。耕す者、塊土を奉げて以て公子に賜う。公子怒る。咎犯曰く、「此れ吉祥なり。天、土地を賜うなり」と。其の後、公子国を得土を復すること、咎犯の言の如し。斉の田単、即墨の城を保ち、燕軍を詐らんと欲し、「天神下りて我を助く」と云う。一人前みて曰く、「我、以て神と為る可きか」と。田単は卻き走り、再拝して之に事え、竟に神下るの言を以て燕軍に聞こえしむ。燕軍其の神有るを信じ、又牛の五采の文の若きを見て、遂に信じ畏懼し、軍破れ兵北ぐ。田単卒に勝ち、復た侵地を獲たり。此れ人の鬼に象るの妖なり。

現代語訳

晋の公子重耳は国を失い、道中で食べ物に困り、畑を耕す者に食を乞いました。耕す者は土のかたまりを差し出して公子に与えました。公子は怒りましたが、咎犯は「これは吉兆です。天が土地を授けてくださったのです」と言いました。その後、公子は国を得て領土を取り戻し、咎犯の言ったとおりになりました。斉の田単は即墨の城を守っていて、燕軍を欺こうとし、「天の神が降りて私を助けている」と言いふらしました。一人の兵が進み出て、「私が神になってよいでしょうか」と言うと、田単は後ろに退いて二度拝み、この者に仕えるようにふるまい、ついに神が降りたという話を燕軍の耳に入れました。燕軍は神がいると信じ、さらに牛が五色の模様をつけているのを見て、すっかり恐れ、軍は敗れ兵は逃げました。田単はついに勝ち、奪われた土地を取り戻しました。これは人が神を装う妖の例です。

解説

差し出された土を吉兆と言い換えた咎犯と、神の助けを演出して敵の戦意を奪った田単。王充はこれらを、人が鬼神を装う妖の例として挙げ、神の働きそのものとは見ません。『論衡』は神秘を実証で退ける書ですが、二つの逸話は、物事の意味づけが人の士気や判断を左右することをよく示しています。失意の場面で状況の見方を変えて前を向かせる。ただし田単のように事実を偽って人を動かす手段は、組織では信頼を損なう危うさがあります。意味づけと偽りの線引きを考えさせます。
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この章句が説くこと

咎犯田単吉祥士気意味づけ妖

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