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論衡 / 『論衡』治期篇第五十三・衣食が足りて礼節が生まれる

讓生於有餘、爭起於不足。谷足食多、禮義之心生;禮丰義重、平安之基立矣。故飢歲之春、不食親戚、穰歲之秋、召及四鄰。不食親戚、惡行也;召及四鄰、善義也。為善惡之行、不在人質性、在於歲之飢穰。

新字:譲生於有余、争起於不足。谷足食多、礼義之心生;礼丰義重、平安之基立矣。故飢歳之春、不食親戚、穰歳之秋、召及四鄰。不食親戚、悪行也;召及四鄰、善義也。為善悪之行、不在人質性、在於歳之飢穰。

書き下し

譲は余り有るに生じ、争いは足らざるに起こる。谷足り食多ければ、礼義の心生じ、礼豊かに義重ければ、平安の基立つ。故に飢歳の春は親戚にも食わせず、穣歳の秋は四隣をも召す。親戚に食わせざるは悪行なり。四隣を召すは善義なり。善悪の行いを為すは、人の質性に在らずして、歳の飢穣に在り。

現代語訳

ゆずり合いはゆとりから生まれ、争いは足りなさから起こります。穀物が足り食べ物が多ければ、礼儀や義理の心が生まれ、礼が豊かで義が重んじられれば、平安の土台が立ちます。それゆえ、飢えた年の春には親戚にさえ食べさせず、豊作の年の秋には近所の人まで招きます。親戚に食べさせないのは悪い行いで、近所の人を招くのは善い行いです。しかし、善い行いをするか悪い行いをするかは、人の生まれつきの性質にあるのではなく、その年が飢饉か豊作かにあるのです。

解説

直前で王充は「倉が満ちれば民は礼節を知り、衣食が足りれば栄辱を知る」という古い言葉を引き、人の善悪は性質より置かれた生活条件で決まるという見方を示します。飢えた年に親類にも食べさせないのは、悪人だからではないという現実的な指摘です。治期篇は、乱世の原因が政治の悪ではなく穀物の不足にあると論じる流れで、この考えを置いています。職場にあてはめると、メンバーの余裕のなさが対立や出し惜しみを生みます。人の態度が悪化したとき、性格を責める前に、時間や人手や報酬の足りなさがないかを点検する手がかりになります。
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この章句が説くこと

衣食足りて礼節譲と争い飢饉と豊作環境治期

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