論衡 / 『論衡』變動篇第四十三・思うだけでは果物も取れない
有果之物、在人之前、去口一尺。心欲食之、口氣吸之、不能取也。手掇送口、然後得之。夫以果之細、員易轉、去口不遠、至誠欲之、不能得也、況天去人高遠、其氣莽蒼無端末乎?
新字:有果之物、在人之前、去口一尺。心欲食之、口気吸之、不能取也。手掇送口、然後得之。夫以果之細、員易転、去口不遠、至誠欲之、不能得也、況天去人高遠、其気莽蒼無端末乎?
書き下し
果有るの物、人の前に在り、口を去ること一尺なり。心に之を食わんと欲し、口の気もて之を吸うも、取る能わざるなり。手もて掇りて口に送り、然る後に之を得。夫れ果の細く、円くして転び易く、口を去ること遠からざるを以てするも、至誠に之を欲して得る能わざるに、況んや天は人を去ること高遠にして、其の気は莽蒼として端末無きをや。
現代語訳
目の前、口から一尺ほどのところに果物があるとします。心で食べたいと思い、口の息で吸い寄せようとしても、取ることはできません。手で拾って口に運んではじめて手に入ります。果物は小さく、丸くて転がりやすく、口からもそれほど遠くありません。それでも、心から欲しても手に入らないのですから、まして天は人から高く遠く離れ、その気は果てしなく広がって端も終わりもないのですから、なおさらです。
解説
変動篇は、人の行いが天の気を動かすという説を、さまざまな角度から退ける篇です。王充は、誠意が天に通じるなら、一尺先の果物すら心で念じて取れるはずなのに、実際には手を伸ばさなければ取れないと述べ、誠意だけで遠い天の気は動かせないと論じます。強い思いがあるだけでは物事は動かず、手を動かして初めて結果が出る、という現実的な視点です。現代の仕事でも、熱意や志の強さを語るだけで満足せず、具体的な行動に落とし込めているかを点検するよう促してくれます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
至誠行動果物天の気熱意実証
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