酔古堂剣掃 / 集豪・風に乘り浪を破る
胸中自是奇,乘風破浪,平吞萬頃蒼茫;腳底由來闊,歷險窮幽,飛度千尋杳靄。
新字:胸中自是奇,乗風破浪,平呑万頃蒼茫;脚底由来闊,歴険窮幽,飛度千尋杳靄。
書き下し
胸中自ら是れ奇なり、風に乘り浪を破りて、平らかに萬頃の蒼茫を吞む。腳底由來闊し、險を歷て幽を窮め、千尋の杳靄を飛び度る。
現代語訳
胸の中はもともと非凡で、風に乗り波を打ち破って、果てしない大海原を平然と呑み込みます。足もとはもとより広く、険しい所を越え奥深い所をきわめ、千尋もの深い霞を飛ぶように渡っていきます。
解説
胸の広さと足の強さを、海と山の旅にたとえて讃えた一則です。風に乗り浪を破るは、南朝宋の宗愨が、長風に乗って万里の浪を破りたいと志を語った故事に基づく言葉です。万頃の蒼茫は果てしなく広がる海、千尋の杳靄は深い谷にかかる霞を言います。胸中の奇と脚底の闊が対になり、大きな志と、それを実地に踏み行く力の両方を示しています。志だけあっても足が動かなければ遠くへは行けず、足だけ達者でも志がなければ迷います。両方を鍛えることが、大きな仕事への道でしょう。
この章句が説くこと
立志豪気行動胆力雄大
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